つくる仕事、変わる仕事
~SMBCの新たな挑戦

三井住友銀行(SMBC)が次代の成長に向け、キャリア採用(中途採用)を強化している。2020年度はリテールIT戦略、プロジェクトファイナンス、サイバーセキュリティなど幅広い職種で50人以上を採用、今後も様々な領域で積極採用を続ける方針だ。

テクノロジーの急速な発展やグローバル化、フィンテック企業の台頭、人口減少――。銀行を取り巻く環境の激変を受け、SMBCは従来のビジネスモデルから一段上のステージへ、変革の真っただ中にある。重要な転換期に外部人材の起用を進める狙いや目指す企業像について三井住友銀行人事部採用グループ長の持田恭平氏に話を聞いた。

変わる銀行ビジネス、キャリア採用を組織改革の柱に

――銀行の外部環境の変化をふまえ、SMBCの新しい方向性について教えてください。

 「国内では少子高齢化が進み、労働人口の減少や経済活動の低下が懸念されています。また、技術革新やフィンテック企業の台頭に象徴されるように業界の垣根が下がり、従来のメガバンクのビジネスモデルは変革を迫られています。銀行のお客様である企業も同様です。例えば、自動車産業はガソリン車からEV(電気自動車)へのシフトが進み、業界地図を一変しようとしています」

 「このような変化の時代において、新しい取り組みの方向性は大きく2つです。1つは『トランスフォーメーション』。既存業務やサービス提供の仕方を環境の変化に合わせて発展させることを意味します。例えば、法人のお客様同士が業務提携や販路拡大のパートナーを自ら探せるビジネスマッチングサイト『Biz Create(ビズクリエイト)』を立ち上げました。従来より担っていた業務をプラットフォームとして提供するという進化です」

 「個人のお客様に対しては、スマートフォンのアプリは、いまやなくてはならない重要な社会インフラで、リアルな店舗と並ぶ『もう1つの銀行』といえます。当行のアプリでは証券やクレジットカード、家計簿アプリとの連携など、業界の垣根を超え、利用者にとっての利便性を最大化することを目指しています。機能、デザインの改善を続け、より使いやすく、選ばれるサービスとなるよう尽力しています」

 「2つめは、データの活用やグループ企業・外部企業との提携によって新しい領域の事業を創出することです。例えば昨年には、社内ベンチャー『プラリタウン』を立ち上げ、セールスフォース・ドットコム、ベルフェイス、Sansanなどと協業し中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援するサービスを提供しています。こうしたチャレンジを通じて、今後のビジネスの主戦場となるデジタル領域で、時には外部の企業と手を携え、最高の解決策を提供する存在であり続けたいと考えており、そのために銀行が蓄積するデータや情報の活用を進めていきます。こういった新しい取り組みを進めるとともに、社会の変化により素早く対応できるよう、組織の再構築にも取り組みます。その柱として期待しているのがキャリア採用で迎える人材です」

広がる事業領域、キャリア採用の人材に無限の可能性

――2020年度のキャリア採用は年50人以上とそれまでの2倍以上に増やしたそうですが、その背景を教えてください。

 「キャリア採用を大幅に増やした理由は2つあります。第一に、業務の領域拡大や深化により、新しいタイプの人材が必要になったからです。特にテクノロジーやデータの有効活用、あるいはセキュリティの強化という観点からも、銀行の業務領域が急速に広がったほか、人生100年時代を迎える中での個人のお客様への対応、東南アジアでの現地に根差した銀行業務など、従来の業務の専門性も深まっています。『銀行員』として経験を積んできた既存社員だけでは補えない領域が増え、銀行以外のフィールドで経験や知識を蓄えた外部人材の力が必要不可欠になりました。第二に、社内カルチャーの改革です。銀行は新卒を大量採用し育成するイメージで、比較的同質の人材が集まった組織、と思われがちでした。ただ、先行き不透明で変化のスピードが激しい時代、多様なバックグラウンドを持った人材が加わることでイノベーションが生まれ、より強い組織になれると思います。これからは、銀行以外の業界や企業で経験を積んだ人たちも中心となり、会社を動かしリードしていく場面が増えるでしょう」

――転職希望者にとって、御社で働く醍醐(だいご)味は何ですか。

 「当行はリテール、ホールセール、市場、グローバル、決済、監査など事業領域が非常に多岐にわたるため、キャリア採用で入社する人にも大きな可能性を秘めた組織といえるでしょう。例えば、広告会社のデザイナー職からアプリのUI/UXデザイン担当者、メーカーのマーケティング担当からリテール部門のプロモーション企画など、様々な経歴を生かして活躍している人がいます。産業界でのデジタルへの流れが加速するなか、最近はIT業界出身者も増えています。監査法人や、もちろん同業の銀行、証券から入社する例もあります」

 「当行の顧客層は、個人、法人ともに、非常に幅広くなっております。そのため、社会に与える影響の大きさは、責任を伴いつつ、やりがいにつながると思います。最近の例をとっても、キャリア採用で入社した30代の人材が新規事業を立ち上げ、ジョイントベンチャーの社長を務めているケースがあるように、主体的に取り組む人には経営の立場で活躍する機会も用意しています」

「銀行カルチャー」からの脱却

――離職した人を対象にした「カムバック採用」や社員の紹介や推薦による「リファラル採用」など採用チャンネルの多角化を進めていますね。

 「基本的な考えとしては、当行の勤務経験の有無にかかわらず、当行に必要な人材には積極的に門戸を開いていきたいと考えています。一度別の会社に転職し、経験を積んだ後、当行でまた頑張ってみよう、と思ってもらい、その時点でお互いのニーズがマッチすればどんどん受け入れていきたい。リファラル採用に関しても、社員の知人であれば、働き方や職場の雰囲気などへの理解が深いでしょうし、ミスマッチが起きづらいというメリットがあり、積極的に活用したい手法です」

――銀行というと、依然としてお硬いイメージを持たれることが多いようです。

 「業務内容が変わってきたように、会社のカルチャーも大きく変化しています。20年秋に、社内SNS『ミドりば』を立ち上げました。新規事業のアイデア出しで盛り上がる場から、共通の趣味でつながる場までテーマは様々です。すべての行員がアクセスでき、入行1年目の新人から社長や役員まで自由闊達な意見が飛び交っています。服装に関してもスーツ一辺倒ではなく、その時々に合わせ、服装は自分で決めてよい、ということになりました」

 「キャリア採用で入社する方には、外部で培った専門性や見識、スキル・経験で、組織に刺激を与えてくれることを期待しています。これからのSMBCは新しくつくる仕事、(従来のやり方から)変わる仕事が増え、非常にエキサイティングな場所になると確信しています。新しいことに挑戦したい方、世の中に大きなインパクトを与えたい方、ぜひ当行に興味を持っていただけると嬉しいです」

転職成功アンケートご協力のお願い
日経転職版を通じて転職が決まった方に、アンケートのご協力をお願いいたします。