お客様や社会にとって新しい価値を創出 多様な人財の能力を最大限引き出すNTTデータの人事戦略とはお客様や社会にとって新しい価値を創出 多様な人財の能力を最大限引き出すNTTデータの人事戦略とは

 この10年で社会におけるITの役割や位置づけは大きく変化した。企業などの組織における業務を合理化・効率化する手段としてのITにとどまらず、新たな社会やビジネスモデルの創造をドライブするエンジンになってきた。背景には、社会や顧客が抱える課題の複雑化・多様化が進み、あらゆる知恵を結集しなければ解決策を見出せなくなっている中で、IT・デジタル技術による課題解決への期待がこれまでになく高まっていることがある。
 NTTデータはこうした時代の流れをいち早く読み取り、多様な人財が能力を十分に発揮して、活躍できる組織作りを進めてきた。それは、会社がバリューを創造するためなら、変革はいとわないという強い姿勢で臨んでいる人事戦略・人事制度にもうかがえる。ベースとなっている考え方は何か、現在はどのような施策に取り組んでいるのか――。人事本部の青木千恵氏と森田賢二氏に話を聞いた。

森田氏/青木氏

ITで
社会やサービスをデザインする時代に

森田氏

日経転職版・編集部(以下、編集部)社会におけるITの役割がますます重要になってきています。お二人とも人事だけではなく、現場の事業部門も経験されていたと伺っていますが、お客様からのITに対する期待値の高まりなど時代の変化を実感することはありますか。

森田 /私は、長く法人系のお客様を担当してきました。特にこの10年ぐらいでは、対面するお客様の窓口が情報システム部門だけでなく、業務部門にも広がり、ITの役割が変化したことを実感しました。私が当社に入社した頃は、コンピューターは限られた人しか興味を持っていませんでしたが、今では誰もがITを身近なものとしてとらえ、活用しています。

青木 /私は、公共システムの開発が多かったのですが、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたお客様の意欲が年々高まっていることを感じます。公共システムは正確さが最重要ですが、今はそれに加えてデジタル技術を活用した効率化やスピードも求められるようになり、NTTデータの活躍の場が広がっています。

森田 /加えて、時代の変化とともに新たな価値創造に必要なアイデアを生み出すためには、業界を横断するような多様な知見が必要になってきましたよね。

青木 /まさにそうです。当社では、それに応える形で2020年10月にソーシャルデザイン推進室を新設しました。お客様の課題に対して、業界・業種の垣根を越えたサービスを創造し、スピーディーに応えていくことが一番の狙いです。金融・公共・法人という事業分野を横串して、新しい仕組みや価値を創造しようという当社ならではの部署です。

森田 /社内の協力体制だけでなく、他社との協業も進んでいますね。複雑化した社会では単独での事業遂行は困難です。一方で、当社は様々な業態のお客様との関わりがあります。そのため、パイプ役としての期待も大きく、企業と企業をつなげる役割がより求められるようになってきました。例えば、2020年10月に発表した貿易情報プラットフォーム「TradeWaltz®(トレードワルツ)」です。この取り組みは、当社が事務局となり、業界を横断する7社で協業・出資するプラットフォームであり、貿易業務の業界を超えた共通課題の解決につながる理想的な協業の形です。

編集部 /社会や企業におけるITの役割は今後さらに拡大することが見込まれますが、そのようなデジタル時代に企業に求められるケイパビリティとは何でしょうか。

青木 /私たちにとって、一番大切なのはお客様のために価値を生み出すことができるか、ということです。しかも、目の前にいるお客様だけではなく、その先にいるお客様も意識することが大事です。サービスデザインをするためのラボを開設し、お客様と一緒に新しいサービスの創発を目指す取り組みを進めています。

青木氏

森田 /当社には大切にしている3つのバリューがあり、青木さんがお話された「Clients First」はその1つです。他には「Teamwork」、そしてスピード感と先見性を持ってデジタル技術で新しい社会やビジネスを生み出す「Foresight」があります。Foresightについては、当社では毎年、『NTT DATA Technology Foresight』と題して、ITテクノロジーが今後どのように進化・発展していくのかを発表しています。特徴的なのは、技術トレンドだけでなく、それが社会にどのように変化を与えるかを含めて将来の進むべき姿を定義し、情報発信していることです。

多様なメンバーが生き生き働ける
人事戦略を目指す

青木氏

編集部 /VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代、さらにはコロナ禍の影響もあって社員のキャリアに対する考え方が変わってきたと思います。人事担当者としてこの変化をどのように見ていますか。

青木 /当社では、以前から導入していたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワーク主体の業務スタイルへと急速に変化させました。その結果、自分の専門性や特技、得意分野をより意識して仕事をするようになったように感じます。

森田 /かつては、ピラミッド型の組織体系の中で限られた頂点に向けてキャリアアップを目指すことが一般的でした。しかし、今はそれだけではなく、得意分野・専門領域を自ら選択して伸ばし、そこにフォーカスした仕事をするように働き方が多様化し、目指す頂点のバリエーションも広がってきました。

編集部 /社員の達成感や使命感、幸福感を高めることも企業に問われています。NTTデータの人事戦略の柱はどこにあるのでしょうか。

青木 /当社の3つのバリュー1つである「Teamwork」。個が大事なのは言うまでもありませんが、それ以上にTeamworkを実践できる人でないといけません。経験者採用でもその点は重視しており、チームにおける自分の存在意義が専門性の発揮という位置づけです。

森田 /青木さんのおっしゃる通りですね。当社は1人ではできないことをみんなで協力して目的を達成する企業文化が根づいています。力を合わせてお客様や社会に対して新たな価値を提供したいといった価値観は私たちのDNAの中にあり、ひとりひとりが専門性を発揮しながらもTeamworkで仕事を成し遂げることを大事にしています。

青木 /当社の中期経営計画(2019~2021年)でもTeamworkを、より醸成していくために、デジタル&グローバルで活躍できる人財を増やしていくという考えが述べられています。Teamworkという共通の価値観があり、それを支えるスキルとしてデジタル&グローバルに注力する。チームワークの中で社員それぞれが生き生きと働けることが私たちの重要な人事戦略です。

森田氏

全社員の力を高め、組織力を最大化する
様々な人事制度を整備

編集部 /社員のキャリア形成に対して様々な考え方が生まれていますが、それを支える人事制度について聞きます。プロフェッショナリティーの最大化を図り、組織力を高めるという方向性のもとに、ここ数年で「アドバンスド・プロフェッショナル(ADP)制度」や「テクニカル・グレード(TG)制度」など新しい制度を次々に展開されています。

森田 /ADP制度は2018年2月にスタートしました。従来の当社の処遇・給与水準ではなかなか獲得できなかった、社会的に認知されている卓越したスキルを持った人財に当社で活躍していただくための制度です。各領域において国内外で高い評価を受けている高スキル人財を対象としており、現在7人が在籍しています。卓越した知見と能力でビジネスをけん引してもらうとともに、社内に向けてはそういった方をロールモデルとして次のスペシャリストが育つ効果も期待しています。

青木 /ADP社員の方々には社外発信によって、当社のプレゼンスを高めるというミッションも担っていただいています。ADP社員の方と一緒に働くことは、他社員の励みにもなっているようで、モチベーションの向上や高い目標設定など良い効果が生まれています。

森田 /2019年10月に設けたTG制度は、専門性による貢献度合いで報酬が決まる制度です。チームのマネジメントよりも、むしろ専門分野で高いスキルを発揮することに集中してもらうことで、"突き抜けた存在"になってもらうことが狙いです。

編集部 /突き抜けた存在を具体的に教えていただけますか。

森田 /キャリアの多様化が進む今、社員全員が組織の長を目指して仕事をしているわけではありません。中には「培ってきた専門性を活かして、お客様に『尖がった価値』を提供したい」と話す社員もいます。ただ、従来の人事制度ではスキル・能力が高く、高評価される社員ほどマネージャーや管理職としての役割に変わるため、プロジェクトで培ってきたスキルを発揮したい社員にとっては、モチベーション高く仕事を継続できないケースもありました。そのような社員に、マネジメントではなく、専門性を発揮して、当社の価値創出に貢献してもらうことが本制度の目的です。テクニカルというと「技術」という印象がありますが、ここでは専門性という意味であり、営業やコンサルタントの社員も認定されています。

編集部 /制度を開始してみて社員の反応はどうですか。

青木 /当社は、もともと高い専門性を志向する社員が多い気がします。そのため「自分がやりたいことを宣言して、専念できる制度ができたのは本当に良かった」との声があり、待ち望まれていたものがようやく制度化されたという反応がありました。

森田 /人事が思っていた以上に、TG制度を活用する人財が増えています。若手も早い時期から専門性を追求し始めていて、次のTG認定候補者がどんどん出て来てくれるのは心強いです。

編集部 /働き方の多様性を持たせるために「フレキシブル・グレード(FG)制度」という制度も創設されたと伺いました。

森田 /そうですね。私は最近話題のジョブ型とは、出る杭をしっかりつかんで伸ばしてあげるために最適な制度だと思っています。そういうジョブをしっかり定義できるようにするために、2020年7月にFG制度を創出しました。

青木 /FG制度について付け加えるなら、社員自らが理想とするキャリアをイメージし、マネジメントスキルを含む様々な事業貢献を適正に処遇することも狙いです。例えば制度導入前、シニア社員は担っていたジョブを後進に譲って、後方支援に回るというケースがほとんどでしたが、今はFG制度によりシニア社員も等級や年齢の枠組みにとらわれず、自身の専門性や強みに対する研鑽を継続頂く事で、それに見合った、自身の専門性を発揮できるジョブを担うことができるようになっています。

編集部 /他にはどのような制度がありますか。

森田 /自分がどう研鑽していくのかを提示し、社員のプロフェッショナリティーを高めるのが「プロフェッショナル・キャリア・デベロップメント・プログラム(P-CDP)」制度です。社員それぞれがお客様にどのようなプロフェッショナリティーを発揮していくのかをしっかり見定めて、それに相応しい実践を積んでいかないといけません。「開発・運用」「技術」「営業」など、それぞれの部門に3~4つの専門性の柱があり、各専門性にランクがつけられ、下から「アソシエイト」「シニア」「エグゼクティブ」「プリンシパル」に分かれています。

青木 /P-CDPの柱は認定、配置、能力開発です。例えば、PMとしてシニアからエグゼクティブを目指すなら、それに相応しい仕事にチャレンジすることが必要です。エグゼクティブを取得し、次はPM以外の領域も広げてみようとなったら、配属・育成されて、さらなる認定を受けるというサイクルが続きます。何らかのレベルに認められれば、プロフェッショナリティーとしての達成感になりますし、認定に向けて自分がやってきたことを形に残すことで、キャリアの棚卸しにもつなげられます。

森田 /時代によってP-CDPの専門性の柱は見直しています。直近では、DX時代に合わせて「ビジネスディベロッパ」や「データサイエンティスト」を追加しました。新たな人財を定義してブラッシュアップし、社員が目指すキャリアパスが陳腐化しないように工夫しています。

森田氏

編集部 /ここ数年、立て続けに人事制度を創設されていますが、どのような背景があるのでしょうか。

森田 /NTTデータは「人」がすべての業務の根幹です。人財を支える仕掛けを常にブラッシュアップしないと、社員の能力やスキルを十分に生かすことができず、会社の成長につながらないと考えています。

青木 /他にも、当社には組織力と個々の力を最大化させるための施策が多くあります。困難な課題を皆でシェアしあい、解決していくためのワークショップやワーキングを開催する「価値創出力強化施策」、年2回の社内公募、グループ内で異動できる「ジョブチャレンジ」のほか、ダイバーシティや働き方改革も早くから推進してきました。

編集部 /今後、さらに考えている施策などはありますか。

青木 /ビジネスの現場のニーズをもっと取り入れた採用と育成に変えていきたいです。これまでもADP採用やTG制度の創出など、体系を改善してきましたが、アラカルト的に必要な時に必要な育成プログラムを受けることができ、個々人のスキルや成長を支えられる基盤を整備していきたいと考えています。

森田 /人事制度は策定して終わりではありません。人事本部が想定しない効果的な制度の使い方、あるいは課題があるかもしれません。現場社員が制度を使ってみた結果を受けて、そこからのフィードバックをうまく取り込んで回していけば、現場がより使いやすい、現場に適した人事制度になっていくはずです。

編集部 /社会全体としての人事戦略は今後どうなっていくべきでしょうか。

森田 /冒頭の話にもありましたが、これからの時代は業界や産業を横断した協力体制が必要になってきます。私たちのようなIT企業とパートナーがどのように組み、素晴らしいチームを作っていくかがお客様を効率的にサポートする鍵になるのではないでしょうか。どう人財を還流させていくかを考えなくてはいけません。

青木 /森田さんが指摘された点は、IT企業にとってとても重要だと思います。もう1点意識しているのは、ジョブ型の人事制度導入への対応です。方向性としては賛成ですが、個々の社員の特性を生かし、成長の助けとなり、その結果として組織力を最大化することに適したジョブ型の人事制度にすることが重要です。当社はTeamworkを大事にしたベストミックスを目指しています。

社会への貢献を喜びや成長への糧とし合える
仲間と未来を創造

編集部 /新たな未来に向けて、人事担当としての想いを聞かせてください。

青木 /当社はお客様と同じくらい、時にはそれ以上にお客様の事業発展にどうしたら貢献できるか考えようと頑張っている社員が多数います。例えば、お客様のDX推進の担当になったら、NTTデータの社員という立場からの見方だけでなく、お客様企業の社員だったらと深掘りして考えるため、2つの会社に同時に勤務しているような錯覚に陥ることがあります。そこまで考え抜くからこそ、業務を通じて、お客様から高い期待が寄せられ、頼られているという喜びを実感できます。喜びは自分の成長の糧でもあるので、そうした機会を人事としてもどんどん増やしていきたいです。

青木氏

森田 /当社はどちらかというと堅い会社というイメージがあるかもしれません。でも、実は社内にしがらみはなく、変えるべきものは変えていく風通しの良い会社です。個人の成長をサポートする施策を常に考えている会社でもあります。社員は皆さんやりがいのある難易度の高い仕事に取り組んでいますが、やりがいや成長度合いを実感できるロールモデルがいることなど、貴重な環境だといえます。Teamworkに価値を置いているので、みんなで1つのものを創り上げる経験をしたい方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。

青木 /さらに言えば、NTTデータではDXの最先端という活躍の仕方もあれば、基幹システムのDX化という活躍の仕方もあります。本当に幅広く活躍の場が用意されています。先入観なしに来ていただきたいですね。

編集部 /最後にお聞きします。御社のパーパス(存在意義)は何でしょうか。

青木 /NTTデータグループの主領域である情報技術を生かして、未来の仕組みを創り上げ、お客様や社会にとっての新しい価値を生み出すこと。そして、自社の利益のみを追求するのではなく、社会全体の成長・継続に貢献していくこと。それがNTTデータグループの社会的責任であり、私たちの存在理由と考えています。

森田 /それは、NTTデータのフィロソフィーでもあったりしますよね。情報やITを活用して社会に貢献することがやりがいと思われる方には、とても良い会社だと思います。

編集部 /働き方やキャリア形成の多様化が進んでいる今、社員の能力を最大限に引き出すカルチャーの醸成を課題に掲げる企業は多くあります。その点、NTTデータは、グループミッションや3つのバリューが全社員にDNAとして根づいており、制度改革など"攻めの人事"を展開しています。「すべてはお客様のために」の視点を忘れず、個々のプロフェッショナリティーを高めることで、強い組織を作ろうとしています。様々な人事制度の創設は、顧客により多くの価値をもたらすことができるよう現場感を大切に設計されていることを痛感しました。本日はありがとうございました。

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