日本企業で働き方改革が進み、多くのビジネスパーソンが自身のキャリアや働き方を見直す中、多様性ある組織への関心が高まりつつある。アバナードは20を超えるの国・地域から人材が集まり、「インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)」を掲げる。セキュリティやデリバリーなどITサービスの最前線に立つ女性たちに、現場から見たI&Dや社内カルチャー、多様性ある組織がもたらすビジネス上の利点などについて話を聞いた。

アバナード株式会社
セキュリティTCデータプロテクション グループマネージャー 本吉 奈々子氏
デリバリーマネジメントTCプロジェクトマネジメント マネージャー 向 未帆氏
人事部

属性を意識せず働けるフラットな環境

アバナード株式会社 デリバリーマネジメントTCプロジェクトマネジメント マネージャー 向未帆氏
アバナード株式会社 デリバリーマネジメントTCプロジェクトマネジメント マネージャー 向未帆氏

――最初に、向さん、本吉さんのキャリアストーリーをお聞かせください。

向「アバナードへの入社は2012年です。前職は外資系コンサルティング会社で、その前は米国サンフランシスコに留学していました。サンフランシスコは多様性に富んだ街で、そこで刺激を受けた影響もあるかもしれません。前職はアバナードの3分の1の人数で、外国人のメンバーが半分。毎日が自転車操業のような感じで非常に忙しかったですね。アバナードに入社して、プロジェクトのスケジュールが守られる、残業代も出る(笑)、すごくちゃんとしてる! と驚きました。今は社内のさまざまなプロジェクトを管理する部署で、ERP(統合基幹業務システム)チームを見ています」

本吉「2019年11月にアバナードに入社しました。直近10年間のキャリアでは、日本企業と外資系企業を両方経験しています。入社時の面接では、セキュリティをやりたいと伝えました。当時、アバナードジャパンにはセキュリティのTC(部署)がなかったので、入社後は内容が近いプロジェクトに参加し、仲間を集めてミニ組織を作りオファーリングを考案するところからスタート。2021年6月にセキュリティTCが立ち上がったばかりです。スタートして約半年、日々挑戦です」

――これまでアバナードで働く中で、インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)の取り組みを感じたことはありますか。

本吉「良い意味で、I&Dに取り組んでいるということを感じないぐらい、自然に会社のカルチャーとして浸透している印象です。もちろん社内教育の一環で女性リーダー育成やグローバルキャリアに関するプログラムなどを受ける機会はありますが、普段働いている中で自分の性別や国籍、バックグラウンドがこうだから何か問題がある、と感じたことはありません。私の所属するセキュリティチームは国籍がバラバラですが、海外のプロジェクトも日本のお客様のビジネスも担当しています。そこに区別はありません」

向「私も本吉さんに近い意見です。そもそも仕事をする上で、その人の性別や国籍などを持ち込むことはありません。コミュニケーションが良好で、プロジェクトも順調に進行しているなら問題ないという考えです。アバナードは男性の育休取得も多いですが、上司が嫌がったという話は聞いたことがないですね。もし誰かが欠けたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりすることがあっても、他の近いスキルを持つ人に頼むとか通訳を呼ぶとか、何かしら打つ手はある。他のメンバーの負担になることもない。バックアップの仕組みがあるのでこれまで不便はなく、あまり気にしたことがないです」

――アバナードに来て、働きやすくなったと感じますか。

向「入社10年目なので『こう変わった』という意識は薄くなっていますが、アバナードは自由度が高いと思います。例えば、承認プロセスなどにかかる時間がアバナードは外部企業の半分程度。スピード感を持って業務に取り組めます」

本吉「ポジション上のことかもしれませんが、アバナードはチャレンジさせてくれる会社だと思います。現在の担当領域には新ビジネスを生むことも含まれています。アバナードブランドを浸透させるために何をすべきか、これまでとは別の視点が必要で、自分にとっては大きな挑戦です。アバナードでは与えられた業務をこなすだけではなく、自ら仕掛ける姿勢も求められていて、それを受け入れる体制があると思います。ある業務を担当するうえで求められるスキルセットはありますが、必ずしもその型どおりでなくてもいい。社員がそれぞれの能力・経験によって力を発揮できる場があります」

――アバナードの中にいて特徴的だと感じたことは。

本吉「そういえば、期待や予想が違ったときに『なぜだ!』と感情的に反応されることはないですね。経緯を聞いて、じゃあこうしましょう、と合理的に判断し次の手を打っていく。未来に向けた準備期間として、今は何をすべきかを常に考えている感じがします。そういった視点の高さが、育休に限らず、ライフステージの変化や自身の体調不良などによる休みの取りやすさにも通じていると思います」

――I&Dの推進について、会社としての取り組み例を教えてください。

人事部「今プランニング中の活動としては、毎年3月の国際女性デーに合わせて、アバナードジャパンのI&Dチームはイベントを開催しており、昨年は〝アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)〟をテーマにセッションを行いました。私たちのビジネスにも直結するような、AIのディープラーニングで学習情報にバイアスがあるとアウトプットもバイアスがかかるということを指摘した研究者からお話を聞いて、大変刺激を受けました。このように節目節目で、I&Dを考えるきっかけを社員に提供しています。
なお、男性社員の育児休業については2021年度(当社会計年度2020年9月~2021年8月)で17人が取得しました。配偶者が出産した社員を母数にすると取得率は約60%。年々増加傾向にあり、取得意欲の向上を感じます」

アバナード株式会社 デリバリーマネジメントTCプロジェクトマネジメント マネージャー 向未帆氏
アバナード株式会社 デリバリーマネジメントTCプロジェクトマネジメント マネージャー 向未帆氏

多様性は組織の経験値を上げ、ビジネスの幅を広げる

アバナード株式会社 セキュリティTCデータプロテクション グループマネージャー 本吉奈々子氏
アバナード株式会社 セキュリティTCデータプロテクション グループマネージャー 本吉奈々子氏

――I&Dが進むことで、組織にどんな価値が生まれると考えますか。

向「組織としての経験値が上がると思います。実際のプロジェクトでも、さまざまな考えを持つ人たちが集まり、各国のやり方を知り、共有することで効率的に進むことがあります。私が担当するERPはグローバル展開が多いので、例えば中国に展開するときメンバーに中国人がいるとそれだけでベネフィットですね」

本吉「多様性を受け入れるということは、自分以外の人たちの見方・考え方を新しくインプットする行為だと思います。そこに自分がこれまで培ってきた経験や考え方とミックスして視野を大きくしていく。例えるなら、役者が役を理解して自分の中にインプットし、自分のスキルを使いアウトプットして舞台を作り上げる、そんなイメージに近いかもしれません。プロジェクトのお客様もバックグラウンドや経験は多様ですし、I&Dはビジネスの幅を広げ、深めることに生かされていると思います」

人事部「I&Dはこれまでジェンダー、カルチャー、ジェネレーション(世代)などの視点から語られることが多かったのですが、お二人の話から個々の経験、専門分野、参加したプロジェクトの数だけ、多様性があるのだと感じました。アバナードはプロジェクト制で、常に大小のプロジェクトが動くビジネススタイルだからこそ、多様な人材が集まっています。プロジェクト経験から生まれる多様性もチームや組織を強くすると思います」

アバナード株式会社 セキュリティTCデータプロテクション グループマネージャー 本吉奈々子氏
アバナード株式会社 セキュリティTCデータプロテクション グループマネージャー 本吉奈々子氏

役職や部署を超えた交流の実現に期待

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――さらにI&Dを推進するために、どんな取り組みがあると良いでしょうか。

本吉「人事部の発言にもあったように、いろいろなプロジェクトに参加することで多様性は何倍にも膨れ上がっていきます。ただ、マネージャー以上の人たちが享受できる環境に比べると、マネージャー未満の人たちはその機会が少ない。また、会社が推奨するさまざまな教育プログラムが用意されていますが、対象がマネージャー以上に限定されているものもあります。業務においてもプログラムにおいても、役職の区別なく、多様性を享受できる場がもっと増えると良いと思います」

向「I&Dとはお互いの違いを認め合って成長していくという趣旨で、それは人種、宗教、性別、LGBTQといった性自認やカルチャーだけでなく、個人個人の経験も含めたものだと思うんですね。現状、アバナードではマネージャー未満の人たちは自分のTC(部署)以外の仕事に関わることがあまり多くないんです。私はこの10年間で、CRM(顧客情報管理)のプロジェクトの参加、他ベンダーのPMOとして派遣されて働いたことなどがあり、その経験は今のERPの業務にとても生きています。製品やソフトウエアの知識、立場の差からくる見方の違いなどを知り、ビジネスの発想が広がりました。マネージャー未満の社員も、近い業務のTCでプロジェクトに参加できる体制や、TC間で異動する『交換留学』のような仕組みがあっても良いと思います」

人事部「今回のお話から、マネージャー、メンバーという枠を超えて、化学反応を起こし学びになる機会を作るという、新しいヒントを頂戴しました」

本吉「マネージャーになっていない人たちの中にも優秀な人材はたくさんいて、私自身、彼ら彼女らから新しい発見を得ることが日々あります。そんな良い面を他の人たちにも伝え、インスパイアしあう場を作る。そうすればアバナードはさらに強い組織になっていくと思います」

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Inside Watch

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プロジェクトのスクラップ&ビルドが強さにつながる

「ふだんの業務でI&Dの取り組みを意識したことはない」という言葉に象徴されるように、個人の属性による「やりにくさ」を意識しないで済む、社員の働きにくさが極力排除された労働環境という印象を受けた。プロジェクト制をとるアバナードは、プロジェクトごとに集合と解散を繰り返す。プロジェクトチームを期間限定の小さな組織とするなら、プロジェクトのたびに人材と業務を変えた組織が誕生し、新たな多様性を生むことになる。今後のキャリアの場として多様性のある強い組織を求めるなら、ぜひアバナードをチェックしておきたい。

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