自治体、民間出身者の求人を拡大 6年間で7倍に増加

東京都庁では民間出身のデジタル人材が業務DXをサポートしている(デジタルサービス局)
東京都庁では民間出身のデジタル人材が業務DXをサポートしている(デジタルサービス局)

自治体が民間出身者からの職員の求人を広げている。転職サイト大手のエン・ジャパンの集計によると、2015年に民間出身者向けに出した自治体の求人を100とした場合、21年は7倍強に増えた。任期付き職員や副業人材としての採用の伸びが目立つ。デジタル化の加速などで業務の幅が広がる中、新卒にこだわらない人材確保策として定着してきた。

同社が扱った地方公務員の求人を集計したところ、民間出身者を対象にした常勤や任期付き、副業、契約スタッフの人数は、16~18年までじわじわと増えた。19年には15年比で3倍に増加し、20年は同4倍に伸びた。

21年の求人数の内訳をみると常勤が6割を占め、任期付きが2割で続いた。副業も8%を占めた。副業は15~18年はゼロだったが、19年に一気に伸びた。

民間出身の求人が増える背景には、自治体業務のデジタル化がある。

「自治体職員はゼネラリストとして育成されるため、時代に即した技術を習得している資格職や専門職の層が薄い」(地方自治総合研究所の今井照主任研究員)。例えば、従来の自治体業務になかったデジタルトランスフォーメーション(DX)の知見を持つ人材を、民間出身者から確保する動きが広がっているのは好例だ。

大阪府は日本IBMで常務執行役員を務めた地元出身の坪田知巳氏を、最高情報統括責任者(CIO)兼スマートシティ戦略部長として採用。坪田氏は20年4月から最大3年の任期付きで、新型コロナウイルスの給付金の申請など行政手続きのオンライン化を進めている。

大阪府四條畷市は民間出身の職員が19年には2人だったが、足元では69人まで増えた。10職種以上に民間出身者がおり、ICT(情報通信技術)職ではサーバー運用などに従事している。22年度の民間公募も採用予定数は11人のところ倍率が100にもなった。

東京都は課長級のデジタル人材を22年4月に8人採用し、21年度末時点(17人)から24人(1人は退職)に増やした。「庁内にはDXを進める知見を持つ人材が十分ではない」(デジタルサービス局)。8人は2年間の任期付きで、庁内各部局の業務DXのトラブル発生時などに技術的なサポートをしている。

ESG(環境・社会・企業統治)への関心が世の中で高まっており、公益的な分野で働こうと公務員に転職を考える人が増えている。エン・ジャパンが21年にサイト利用者3000人以上を対象に実施した調査では、官公庁や自治体への転職に、9割が興味が「ある」と回答。このうち複数回答で6割が「地域貢献」を理由に挙げた。

こうした人たちの受け皿の一つが副業制度だ。副業は給与が日給となるため、一般の職員よりも高い水準の給与を提示して優秀な人材を確保しやすいという。

奈良県生駒市も20年度、働く側が労働条件を自由に選べる形式で、遺贈寄付業務の経験がある大手財団職員を採用した。22年度末までの任期付きで週4日間勤務し、市への寄付促進やクラウドファンディングの立ち上げなどに関わっている。

(久保田皓貴)

[日経電子版 2022年07月08日 掲載]

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