
大和ハウス工業は4月から、60歳で一律に適用してきた役職定年を廃止する。同社の定年は65歳だが、一部の例外を除いて60歳に到達した翌年度以降は年収ベースで3割ほど下がり、やる気の低下につながるケースもあった。能力と働きぶりに応じて59歳までの年収水準と変わらないかそれ以上を受け取れるようにし、活躍を後押しする。
同社は2013年に65歳定年制を導入し、1年更新の嘱託再雇用から正社員へと切り替えてベテラン社員の働きがいを高める工夫をしてきた。ただ、一律に役職定年を適用することで処遇が低下し、技術や設計・施工などで専門性を持つ社員が独立したり、他社に転じたりする場合があった。4月からは65歳定年までの役職継続や昇格などの機会を設け、活躍しやすくする。他社の優秀なシニア人材の採用にも役立つとみている。
4月から社員の副業も解禁する。受け入れ先企業やNPOなどを会社があっせんする公募型と、社員自ら副業先を選ぶ申請型の2種類を用意する。いずれも入社4年目以降の社員を対象にする。
技術職の社員が専門学校などで非常勤講師として働いたり、町おこしに関心のある社員がNPOに業務委託として関わったりするなど、まず100人程度の利用を想定する。スキルの向上や新たな人脈づくりなどにつなげてもらい、働き手が自らキャリアを考え、決める「キャリア自律」の意識を社内に浸透させる狙いだ。
[日経電子版 2022年03月30日 掲載]