新規求人の回復鈍く、2月4.8%減 原材料不足が重荷

半導体や木材の不足が求人数にも影響している
半導体や木材の不足が求人数にも影響している

原材料のサプライチェーン(供給網)の混乱が求人市場の重荷となっている。厚生労働省が29日公表した2月の新規求人数(季節調整値)は82万人と前月から4.8%減った。半導体や木材などの原材料不足が響き、雇用をけん引してきた製造業や建設業の求人回復を鈍らせている。

新規求人数を業種別にみると、製造業が8万6000人と前年同月比27.6%増で伸びが目立った。ただ半導体の供給不足で工場が十分に稼働できないため人材需要が減り、伸び率は1月(38.5%増)より縮小した。みずほリサーチ&テクノロジーズは、半導体不足の影響が残ればメーカーの生産計画は実現しない可能性が高いと分析する。

建設業も1.7%増えたが1月(4.2%増)の水準に及ばなかった。2021年から続く「ウッドショック」の影響で木材が入手困難となり「作業できない日がある」との声が出ている。3月以降はロシアによるウクライナ侵攻で、一段と木材不足が深刻になる恐れもある。

宿泊・飲食サービス業は28.4%増で業種別で最も伸びた。コロナ感染が拡大した初期の20年同月に比べると依然として2割以上少なく、十分に回復したとは言えない。

総務省によると2月の完全失業率(季節調整値)は2.7%と前月から0.1ポイント下がった。21年7月以降、2.7~2.8%の間でほぼ横ばいが続く。就業者数は前年同月比で5カ月連続減少した。コロナ禍が長引くなかで仕事に就かずに労働市場から退出する人がいることも背景にある。

[日経電子版 2022年03月29日 掲載]

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