業務や勤務地の範囲、明示義務化へ 厚労省検討

業務と勤務地の範囲を明確にしてトラブルを防ぐ
業務と勤務地の範囲を明確にしてトラブルを防ぐ

厚生労働省は異動の可能性がある範囲を企業が労働者に事前に明示するよう義務づける検討に入った。ジョブ型雇用など職務や勤務エリアを絞る限定正社員をはじめとして多様な働き方を後押しする。現在は最初の業務や勤務地を示すにとどまり、希望と異なる仕事や遠隔地への配置転換を巡りトラブルになることがあった。

厚労省の有識者検討会が近くまとめる報告書に盛り込む。労働基準法や関係省令の改正を視野に入れ、2022年度から労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で具体的な制度設計を進める。

労働契約時に作成する「労働条件通知書」などに仕事内容や勤務地の範囲を明示することを想定する。たとえば東京都内限定の営業職での採用の場合、現行制度で通知書に記載する必要があるのは「千代田支店」「法人営業」といった最初の勤務条件のみだ。

今後は、変更の可能性がある範囲として「都内」「営業」などと通知書に記載することを義務付ける。勤務地などに限定がない場合は、「会社の定める場所」など包括的な表現も認める。新規の雇用契約のほか、主要な労働条件を変更する場合は再度、明示することも検討する。

将来にわたる雇用条件をあらかじめ明示し、労働者がキャリア形成や生活設計の見通しを立てやすくする。企業にとっても特定の職務や勤務地を求める優秀な人材の確保につながる。社会全体で仕事と育児や介護を両立しやすい環境を整える狙いもある。

労働政策研究・研修機構の調べによると、限定正社員を抱える企業は21年時点で18%だった。従業員1000人以上の企業では43%と規模が大きいほど割合は高い。過去5年間でトラブルがあったのは、限定内容を説明していた企業では3%だったのに対し、説明していない企業では9%に達した。

労働基準法は労働契約の締結の際、企業が賃金や労働時間などの条件を明示しなければならないと定める。違反すれば30万円以下の罰金という罰則規定もある。

[日経電子版 2022年03月16日 掲載]

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