三井不動産、住宅営業拠点で日曜定休に 働き方配慮

住宅営業で日曜定休を導入するのは大手で初めて
住宅営業で日曜定休を導入するのは大手で初めて

三井不動産は新築住宅の営業拠点で日曜定休を本格導入する。首都圏の約40カ所の営業拠点を対象に4月以降、物件の購入者層などを見て増やす。住宅業界は顧客獲得のため土日勤務が一般的だったが、人手不足が強まるなか人材確保には柔軟な働き方を認める必要があると判断した。デジタル化によりオンラインで物件見学や契約が進み、業務の効率化が進んだことも背景にある。

新築住宅を手掛ける子会社、三井不動産レジデンシャル(東京・中央)が東京都内などに持つ約40カ所の営業拠点を対象に順次導入していく。住宅業界は土日がかき入れ時とされ、これまで水曜や木曜など平日定休が一般的だった。モデルルームでの対面接客が定着し、一部の中小や地場の住宅会社を除き日曜定休の事例はない。

社内では営業担当者同士で結婚したものの、日曜に保育園に子供を預けられず、悩む社員が課題となっていた。男女を問わず育休を取りやすくするなど働きやすい環境づくりが求められるなか、日曜定休を設けることで優秀な人材の離職を減らし生産性向上につなげる考えだ。

同社は2021年秋から、都内や横浜市の4カ所の拠点で日曜定休の実験を行ってきた。導入前は顧客を逃すことが懸念されたが「別の日に来場を促し、事前に提供する情報を増やすなど対応した」(同社)ことで、物件販売は計画通りに進んだという。

働き方を多様化する動きは他社にも広がる。オープンハウスグループは営業職が1日2時間から勤務できる制度を4月に導入する。住宅販売や土地の仕入れなどをする社員が対象。その他の事務社員も4時間から働ける。従来は時短でも6時間だったが、女性社員比率の高まりを受けて育休後の早期復帰を支援する。

こうした働き方が導入しやすくなった背景にはコロナ禍で対面接客が難しくなり、オンラインの活用が進んだこともある。ケイアイスター不動産は子会社が運営する関東の12カ所の平屋建て住宅展示場を全て無人にした。質問したい場合はテレビモニターで話しかけてもらい、担当者が遠隔で接客する。

当初は感染対策で導入したが、来場者からは「自分のペースで住宅を見れる」といった好意的な反応が多かった。希望すれば対面接客も選べるが、約7割の顧客が無人を利用している。遠隔なら子供がいる女性従業員も営業しやすいメリットもある。

他業界と比べてデジタル技術の導入が遅れていた住宅販売だが、オンライン接客や仮想現実(VR)による内見、売買契約の電子化なども進んできた。法改正に伴い、22年5月までに重要事項説明書や契約書類など不動産関連の電子契約書も解禁されることも導入を後押しする。デジタル化の進展で従業員の働き方の見直しが進みそうだ。

[日経電子版 2022年03月12日 掲載]

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