
NTTが主要グループ会社の賃金制度の見直しについて、NTTの労働組合に提案したことが9日分かった。職位や役職に基づいて支払う従来方式を改め、業務の専門性について熟達の度合いによって等級を判定し賃金に反映する制度を導入する。同社は従業員の専門性向上につなげるとしている。
NTT労組は15日に開く中央委員会で、2%の賃上げ要求を正式に決定するほか、新しい賃金制度の枠組みについても決議する見通し。具体的な賃金の水準や専門性の評価制度の詳細は、2022年夏の定期大会にかけて労使間で議論する。
月例賃金制度のうち、職位や役職に応じて支払う「資格賃金」や「職責手当」などの諸手当を改め、新たに設ける「グレード賃金」に一本化する。グレード賃金は等級に応じて上がる仕組みを想定し、等級は専門性の程度に応じて決める。インフラエンジニアやコンサルティング、財務など16種の業務分類ごとに専門性の等級を定める。
従来は業務が異なっても同じ役職であれば給与水準は一定だった。今後は等級が異なれば同じ役職でも差がつくことになる。
NTTはNTTドコモなど主要会社で20年7月から、職務内容を明確にして成果で評価する「ジョブ型」制度の導入を進めている。21年10月には全管理職を対象に拡大した。一般社員はジョブ型の対象にしないものの、専門性を評価した新たな人事制度を導入し、プロフェッショナル人材を育成するとしている。
[日経電子版 2022年02月09日 掲載]