
26~40歳の子育て中の女性のうち46%が、仕事の難易度や責任の度合いが低くキャリアの展望もない、いわゆる「マミートラック」に該当すると感じていることが21世紀職業財団の調査で分かった。ミレニアル世代と呼ばれるこの世代の正社員同士でも、子育てをしながらのキャリア形成に関する意識が男女で違うことも明らかになった。上の世代に比べると結婚・出産しても働き続けることが一般的になったものの、性別役割分担意識などの影響を受けてキャリアが停滞してしまう女性が多い。
調査は2021年6月末にインターネットで実施。本人・配偶者とも26~40歳の正社員で子どもがいる人を対象にし、男性1912人、女性2194人の回答を分析した。
女性「配偶者のキャリアを優先」55%
女性では「夫婦でお互い、キャリアアップを目指す」とした人が28.1%だったのに対し、「配偶者のキャリアを優先」する人が55.2%と最多だった。男性は「お互い」が41.4%の一方、「自分のキャリアを優先する」人が28.3%だった。

夫婦ともにキャリアアップを目指すのはどんな人だろうか。男性では「自分はキャリアアップができていると思う」人の52.1%、「会社で女性活躍推進の取り組みが積極的に行われている」と思う人の50.2%、「仕事の面白さを感じた経験がある」人の46.3%がお互いのキャリアアップを目指すと回答しており、いずれもそうでない人より高い割合だった。育児休業を取得したことがある男性の47.8%がお互いのキャリアアップを目指していることもわかった。

女性では「上司が日々の業務の中で少し高い目標や少し困難な仕事を与えてチャレンジさせている」と思う人の47.4%は、お互いのキャリアアップを目指すと回答。また夫が週1回以上保育園等のお迎えをしている女性の50.0%が、キャリアアップできていると感じていることも分かった。
男性「毎日定時帰り」12%止まり
男女の働き方の違いなどの課題も見えた。女性では「子供が生まれる前は残業していたが、現在はほぼ毎日定時帰りにした」人が49.2%だったのに対し、男性は12.9%で、変わらず残業している人が32.1%だった。いわゆるマミートラックに現在該当すると回答した女性の割合は46.6%に及んだ。

同財団の上席主任・主任研究員である山谷真名さんは、夫婦がともにキャリアアップを目指せるよう企業が取り組むべきこととして「マミートラックに陥らないようにする仕組みや、アンコンシャスバイアス(無意識の偏ったモノの見方)に関する研修などの実施が有効だ。定時退社する日を夫婦で持てるよう、職場の働き方を変えるとよい」と指摘。また、ミレニアル世代の女性でも依然、性別役割分担意識が強いことをあげ、「夫婦で互いのキャリアをどうしたいのか話し合い、育児休業や短時間勤務を交代で取ることを選択肢に入れることも大切」と助言する。
(砂山絵理子)
[日経電子版 2022年02月06日 掲載]