労務管理の米Deel、日本進出 国境越えた採用容易に 

リモートワークの浸透で働き方の柔軟性が増している
リモートワークの浸透で働き方の柔軟性が増している

企業の国際展開を支援する労務管理サービスの米Deel(ディール)は12月に日本に進出する。現地に法人や拠点を持たなくても海外の人材を活用できるのが特徴。企業が毎月500ドルを支払えば、ディールが雇用主となって現地の人材を確保する。新型コロナウイルスなどの影響で往来規制が厳しくなっても、海外での事業展開がしやすくなる。

ディールは2019年に米国で創業した。各国の法律や社会保障に応じた労務管理サービスをクラウド経由で提供する。すでに60カ国に拠点を持ち、米ドロップボックスやカナダのショッピファイなど約6000社が利用する。リモートワークの普及を追い風に企業価値は約55億ドル(約6247億円)まで急拡大した。日本では12月からサービスを本格展開する。

ディールが雇用主となる派遣型と、企業が業務をディールに委託するコントラクター型の2種類のサービスを提供する。ディールが雇用主となるのは各地での採用が数十人規模で、現地法人を設立するとコストが割高になるような場合だ。企業が月500ドルを支払い、ディールが現地の人材を雇用する。

企業が直接雇用する場合は、月49ドルを払って社会保障などへの対応をまるごと委託する。ディールが持つ全世界のネットワークから最適な人材を検索する機能も提供する。現地の社会保障や最低賃金、退職要件、税制、年金などのルールに対応したうえで、給与支払いを含むサービスをクラウド上で一括提供する。給与は暗号資産(仮想通貨)を含む120種類の中から引き出すことができ、海外送金のコストがかからない。

日本への進出では保険提供などで提携するSOMPOホールディングスやベンチャーキャピタル大手のSOZOベンチャーズ、JAFCOなどと組む。

従来、海外人材を活用するには現地に法人をつくるか、個人事業主と業務委託を結ぶ必要があった。現地法人をつくるにはコストがかかる。働く側にとっては個人事業主として仕事を受注しても福利厚生などが乏しい。海外企業に雇用される場合、給与の支払いに国際送金が使われるため、給与を受け取るまでの時間差や、手数料も課題だった。

[日経電子版 2021年11月30日 掲載]

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