「D2C」「DX」の肩書急増 名刺から見る新しい仕事

Data Scope

「D2C推進部」「DXラボ」――。最近、耳慣れない部署や役職の名前が増えている。デジタル化やグローバル化の進展でビジネスの習慣や価値観が変わり、組織の枠組みを見直そうとする動きが自治体や企業の間で広がっている。名刺管理サービスSansanの登録データを分析し、実際にどのような仕事が増えているのかを探った。

日本経済新聞が10の注目キーワードを独自に選定。それに伝統的な部署名である「営業」「企画」を加えた12のキーワードについて調査した。約280万人が使うSansanの名刺アプリ「エイト」のユーザーが主な対象。1年間で1度でも対面の場で交換された名刺のうち、これら12のキーワードが部署名に含まれている名刺がどのくらいあるか枚数を集計し、2018年を1として20年の変化率を算出した。

最も増加率が高かったのは「D2C」で、この2年で5倍以上に増えた。これはダイレクト・ツー・コンシューマーの略。自ら企画した商品やサービスを小売店を介さずインターネットなどで消費者に直接売るビジネスモデルを指す。小ロットで一人ひとりに合った商品を提供できるなどメリットは大きい。売れるネット広告社(福岡市)はデジタルD2Cの市場規模が25年には3兆円を突破すると予測する。

IT(情報技術)システムやデータを活用してサービスやビジネスモデルを変革する取り組み「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は4.3倍だった。社内外の取り組みで無駄を省き効率化させようと、銀行や損保などで専門部署を立ち上げるケースがこのところ相次いでいる。

デジタル関連だけではない。「カスタマーサクセス」は2.3倍に増えた。自社の商品やサービスを利用している顧客に、それらをいかに有効活用してもらうかを提案する業務のこと。主に、人事管理システムや業務改善ソフトのような初期費用が少なく、必要な期間だけ利用できるサービスを提供する会社で取り入れる例が増えている。

Sansanの小松尚太氏は「新型コロナウイルス禍で名刺交換の機会が減ったにもかかわらず、大幅に増えているキーワードは企業や自治体の関心の高さの表れだ」と話す。国際社会が協働して地球規模で取り組む目標をまとめた「SDGs(持続可能な開発目標)」は4.8倍だった。

実際には肩書や組織の名前が変わっても実務に大きな変化がないケースがある一方、名称はそのままでも仕事内容が大きく変わった会社も多いとみられる。いずれにせよ、名刺は時代に合わせて変革しようとする企業の姿勢の一端を映し出している。

(鈴木洋介)

[日経電子版 2021年11月16日 掲載]

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