転職で年収増やす 3つの軸の掛け合わせがポイント

キャリアメンター 藤原淳さん

転職支援サービスを運営する藤原さん
転職支援サービスを運営する藤原さん

転職支援サービス「wami career(ワミキャリア)」を運営するWAMIの代表で、キャリアメンターの藤原淳さん。会社員時代は20代前半の年収を30代後半には約6倍に伸ばした。転職をキャリアアップにつなげていくためには「3つの軸の掛け合わせ」を意識していくことが重要だと指摘する。

専門スキルは「法律」「会計」などに限らず

――転職で年収アップを実現するためには何を意識すべきですか。

「専門分野のスキル」「英語での実務経験」「マネジメント経験」の3つを掛け合わせていくキャリア戦略は私だけでなく、多くのビジネスパーソンにとって有効だと思います。専門分野のスキルは必ずしも法律や会計などの知識を指すわけではありません。バックオフィスの経理や人事、営業、マーケティングといった日々取り組んでいる仕事でのスキルのこと。自分の市場価値を形成する上での要です。

例えば、営業職の人が新規顧客を開拓し、目標を大きく上回る売り上げを達成した実績を持っているとします。しかし、転職市場ではその成功を「他の会社や環境でも再現できる」と納得感のある形で示せなければ、専門分野のスキルとして認められません。

つまり、新規開拓した顧客の数や売り上げは実績を見定めるために必要ですが、「置かれた状況から、課題をどう洗い出したのか」「その結果、何を考え、どう行動したのか」というプロセスを説明できるようにしておくことが大事です。

優秀な働きぶりをしているにもかかわらず、ここの分析や伝え方の工夫が不十分で、損をしている人は多い。日ごろから「自分として課題にどうコミットしていくのか」という視点を持たないと、他人や環境任せの姿勢になってしまい、実績にもつなげにくいでしょう。

――英語での実務経験、マネジメント経験についてはどうですか。

どちらも専門分野のスキルに広がりを持たせるための手掛かりだと考えてください。英語は個人の目指すキャリアや環境によっては必要ないという場合もあるかもしれません。ただ、いま取り組んでいる職種のスキルを、英語を学んでグローバルでも展開できるようにすれば、キャリアの選択肢が広がります。もちろん例外はあるものの、日系企業より外資系企業の方が年収は高めになる傾向もあります。一方、マネジメント経験はビジネスパーソンなら誰でも意識してほしい軸です。

キャリア戦略は「専門スキル」などの掛け合わせという(写真はイメージ=PIXTA)
キャリア戦略は「専門スキル」などの掛け合わせという(写真はイメージ=PIXTA)

――「マネジメント経験はビジネスパーソンなら誰でも」と言うのはなぜですか。

キャリア相談に乗っていてもよく誤解されるのですが、マネジメント経験とは管理職経験だけを指すのではありません。日常的に取り組んでいる事務作業の効率化、部署内のコミュニケーション方法の改善など、ほんの小さなことでよいので、課題を見つけて「プロジェクト化」してみてください。つまり、自分の気付いた課題とそれに対処するためのアイデアを周囲とシェアし、巻き込むのです。

プロジェクトを仕切れれば立派なマネジメント

同じ業務に携わる2~3人を巻き込めれば、それはもうプロジェクト。プロジェクトを自らの手で回したことがあるなら、役職に就いていなくても立派なマネジメント経験です。「自ら仕事をつくって周囲を巻き込める人」は転職市場で高く評価されます。

これを可視化したのが、以下のピラミッドの図です。意外と1や2の段階で止まっている人は多いのではないでしょうか。役職の有無はあまり関係ありません。4と5を分けるのは自分以外の人を巻き込めるかどうかです。今の職場で5に持っていける仕事がないかどうかを探す意識を持つと、キャリアアップのスピードも高まると思います。

5に持っていける仕事がないかどうかを探す意識を持つと、キャリアアップのスピードも高まる
5に持っていける仕事がないかどうかを探す意識を持つと、キャリアアップのスピードも高まる

――主体的なキャリア形成が大切な一方、各種調査などを見ると「職場の人間関係がうまくいかない」などネガティブな動機で転職を考え始める人が多いのも現実です。

「今いる苦しい環境から抜け出したい」という気持ちから転職を考え始めること自体は悪いことではありません。ただ、次の職場を検討する際には「今の職場が嫌だ」という事実とは別に「自分はどうなりたいのか」「転職して何をかなえたいのか」という目的を落ち着いて確認するようにしてください。

疲れていたり、自信をなくしたりしている状態で、1人で前向きにプランを立てるのは負荷もかかります。身近に信頼できる相談相手がいなければ、有料のキャリア相談サービスを利用するなど、「壁打ち相手」になってくれる第三者を頼ることも考えてみてほしいです。

(ライター 加藤藍子)

藤原淳(ふじわら・じゅん)
2000年に米国の大学を卒業後に帰国。外資系証券会社の派遣社員としてキャリアをスタート。日系証券会社に転職し、正社員に転換。金融業界で計4回の転職を重ね、30代後半の年収は派遣時代の約6倍に。17年にキャリアメンターとして起業。19年に求人を紹介しない転職支援サービス「wami career」を立ち上げ、キャリアメンターとして多くのビジネスパーソンの相談に乗っている。

[NIKKEI STYLE 出世ナビ 2021年06月30日 掲載]

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