パソナ、小売り人材をDX担い手に 再教育し自社で活用

パソナグループは複数のDX人材育成研修を設けている
パソナグループは複数のDX人材育成研修を設けている

パソナグループは小売りやサービス業などからIT(情報技術)未経験者を中途採用し、グループ内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材に育成する。2024年5月までにまず300人を再教育する。経済産業省は30年に国内のIT人材が79万人不足すると推測する。DX対応が求められるなか、民間主導で企業の生産性向上に欠かせないIT人材の底上げを急ぐ。

10月から新たに「デジタルアカデミー社員」と呼ぶ中途採用枠を設けた。小売りやサービス業などからIT職の未経験者を正社員や契約社員として迎え入れ、1年間かけてIT人材に再教育する。

入社後、まず半年間でITやビジネスの基礎知識を学んでもらう。複雑なプログラミング技術が不要な「ローコード開発」と呼ばれる手法を使い、業務用アプリケーションの作成などを学ぶ。パソナグループ内のIT部門でも半年間の職場内訓練を受けてもらい、各職場に配属する。

配属後は主にパソナグループの社内システムエンジニアとしての勤務を想定するが、その後も適性などを見極めて人工知能(AI)に関する研修などを行う。育成した社員が将来、顧客企業のDXなど業務改善に携わることも想定する。

パソナグループは自社の社員に対しても、IT人材に育てるための再教育研修をしている。これまで築いた研修ノウハウを生かし、未経験者を育成する。中途採用と合わせて、24年5月をめどに合計で3000人規模のIT人材を育てる。データ活用を通じた新規事業の開発を促すほか、学び直しの社内研修ノウハウを外部に提供しサービスとして事業化することも検討する。

経産省によると国内のIT人材は20年に最大41万人、30年に同79万人の不足を推計する。特にAIやあらゆるモノがネットにつながるIoTといった先端ITに精通した人材の育成が遅れているが、体系的な研修プログラムを持つ企業はまだ少ないのが現状だ。

新型コロナウイルス禍で特に小売りやサービス産業の雇用環境が急速に悪化した。新政権は中間層への支援による所得倍増を目標に掲げるが、産業構造の変化に対応し、職業訓練による成長分野への労働移動を促すことが欠かせない。多様な研修ノウハウを持つ人材業界を中心に、IT人材などへの再教育の裾野が広がる可能性がある。

[日経電子版 2021年10月19日 掲載]

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