男性育休、経営層4人に1人が消極的 「代わりいない」

積水ハウス調査

企業の経営層の4人に1人は男性が育児休業を取ることに消極的――。積水ハウスがこのほど実施した調査でこんな実態が明らかとなった。規模が小さい企業に消極姿勢が目立ち、「休業する従業員の代わりがいない」「ほかの従業員の負担が大きい」との声が多く聞かれた。男性が育休を柔軟に取得できるようにする改正育児・介護休業法が施行される2022年4月まで約半年。企業の意識が改めて問われている。

調査は6月、経営層(経営者・役員)200人、部長クラス200人、就活中の20代男女400人、これらに属さない20代~60代の働く一般の男女2000人の計2800人を対象にインターネットで実施した。

男性育休の取得への賛否を尋ねたところ、経営層の76.0%が賛成、24.0%が反対と答えた。反対と回答した割合は、働く一般の男女(12.1%)はもちろん、部長クラス(18.0%)と比べても多い。

さらに、部長クラスを男女別にみたところ、女性で反対と回答した割合が13.0%だったのに対し、男性は23.0%。男性管理職の意識改革も課題といえる。

男性の育休取得を「促進する予定がない」と答えた経営層や部長クラスなどのマネジメント層191人に対し、複数回答でその理由を聞いたところ、最も多かったのが「企業規模が小さい」(53.4%)という回答。「従業員の人数が少なく、代替要員の手当ができない」(30.4%)、「休業する従業員以外の負担が大きい」(28.3%)と続いた。

調査を実施した同社CXデザイン室の井上美穂課長は「企業規模によっては容易に男性育休の取得を推進できない場合もあるが、個々の会社にあった方法で少しずつでも進めていくことが大切だ」と話す。

就活中の男女への質問では、50.0%が男性の育休制度は就活に「影響する」と回答。育休制度に注力する企業を「選びたい」と回答した就活生は73.8%にのぼった。制度をいかに充実させるかは、これまで以上に新卒採用での企業のアピールポイントになりそうだ。

マネジメント層と一般層との間で意識の違いも浮き彫りになった。企業内での男性の育休取得の促進状況を尋ねた質問では、「促進している」と答えた経営層が36.0%、部長クラスが48.0%だったのに対して、働く一般層では74.2%が「促進していない」と感じており、マネジメント層は一般従業員の育休ニーズを正確に拾い上げることが重要になりそうだ。

改正育児・介護休業法は22年4月から段階的に施行。子どもの出生後8週間以内に男性が最大4週間の休業を取得できるなど柔軟性を高めたことが目玉のひとつだ。井上さんは「制度の変わる今が企業の意識変革のチャンス」と指摘する。

(荒牧寛人)

[日経電子版 2021年09月10日 掲載]

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