帝国データバンクが実施した2021年の女性登用に対する企業の意識調査によると、企業の女性管理職の割合は平均8.9%で、比較可能な14年以降で最高だった。ESG(環境・社会・企業統治)の動きが広がるなか、女性登用に取り組む企業は増加傾向にあるものの、政府が掲げる女性管理職比率30%の達成には遠く及ばない結果となった。

調査は7月15~31日、全国の企業を対象に実施し、1万992社から有効回答を得た。管理職は課長相当職以上とした。
女性管理職の割合は8.9%と前年比1.1ポイント増となり、過去最高の増加幅だった。帝国データは新型コロナウイルス下で企業が対応に追われていた20年の同時期と比べて「ウィズ・コロナの働き方が浸透し、企業が女性の登用に再び力を入れるようになった」と分析している。
規模別に女性管理職の割合の平均を見ると、「小規模企業」が11.9%で最も高く、次いで「中小企業」が9.5%だった。「大企業」は5.8%だった。業種別では「小売り」が15.5%で最も多く、「不動産」(15.3%)、「金融」(12.7%)の順だった。一方で、最も低かったのは「運輸・倉庫」(5.7%)だった。
女性管理職の割合が現在と比較して今後「増加する」と答えた企業は前年比0.9ポイント増の22.6%だった。「変わらない」は1.4ポイント減の58.9%だった。自社で女性の登用を進めているかを尋ねると、「進めている」と答えた企業は4.3ポイント増の46.9%だった。
政府は20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%程度に引き上げる目標を03年に掲げたが、実現が見通せず、20年12月に「20年代の可能な限り早期に」と改めた。
[日経電子版 2021年08月23日 掲載]