ホンダ、早期退職2000人超 EV見据え世代交代

ホンダの早期退職は国内正社員の約5%に当たる
ホンダの早期退職は国内正社員の約5%に当たる

ホンダが55歳以上の社員を対象に募った早期退職に2000人超が応募したことが5日、分かった。国内正社員の約5%に当たる。電気自動車(EV)シフトを見据え、担い手となる社員の世代交代を進める。自動車メーカーで内燃機関の生産・販売を主体とした従業員構成を見直す動きが広がる可能性がある。

ホンダが早期退職を募集するのは約10年ぶり。今回の早期退職優遇制度は55歳以上64歳未満が対象で、退職金に最大3年分の賃金を上乗せする。4月に募集を始めすでに締め切り、応募状況を労働組合に伝えた。ホンダは応募者の目標を設けなかったが、当初想定の1000人を大幅に上回った。同社の国内従業員数(期間従業員やパートなど除く)は制度対象の子会社を含め3月末時点で約4万人。

応募者は半分ほどが60歳未満で、すでに7月末から退職者が出ている。ホンダは2022年3月期に退職金の割増費用を数百億円程度計上する見通し。22年度以降も制度を続ける予定で、対象者は59歳未満に絞る。同社は日本経済新聞の取材に「退職する社員の転進を支援する狙いが主だ」とコメントした。

同社が人員削減に踏み切るのは、内燃機関から電動化や自動運転へシフトが急務となるなか、中高年層に偏った社員構成を見直すためだ。若手登用を進め、新技術への対応を急ぐ。ホンダは40年までに新車販売をEVと燃料電池車のみにする目標を4月に公表している。

ホンダは4日、22年3月期の連結純利益(国際会計基準)を上方修正し、前期比2%増の6700億円となる見通しだと発表した。米国などで販売が上向いているためだが、主力の四輪事業は営業利益率が前期で1%と低迷している。電動化や自動運転で研究開発などの投資負担が増しており、人件費削減による採算改善の効果もある。

自動車業界では19年に日産自動車が22年度までに世界で約1万人超の人員削減を実施すると発表した。ホンダは四輪を中心に国内外の工場を閉鎖するなど構造改革を進めており、業績が堅調な中での人員削減となる。

[日経電子版 2021年08月06日 掲載]

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