
新型コロナウイルスの影響でテレワークの活用が浸透し、仕事と余暇を組み合わせた「ワーケーション」を取り入れる人も増えてきた。せっかくなら色々な場所をお得に巡りたい、そんな人の選択肢になるのが定額で様々な施設を使えるサブスクリプション型のサービスだ。それぞれの特徴も理解して活用したい。
アドレス(東京・千代田)が運営する「ADDress」では、定額で全国にある160以上の施設に滞在できる。改装した別荘や古民家など、一軒家を使った施設が多い。8割以上の施設に個室があり、共用キッチンなどで他の滞在者と交流しつつプライベートな空間も確保しやすい。
用意される個室は1部屋だ。2親等以内の家族は何人でも追加料金が不要。料金は水道光熱費込みで月額4万4千円。契約期間は基本的に1年で、テレワークや家族行事で長期や定期的に利用する人に向きそうだ。
東京都内の企業に勤めるシステムエンジニアの船木健児さんは、月の半分ほどADDressの施設を利用する。「仕事の前に海辺や町並みを散歩するのが楽しみ」と、気分転換になる。
KabuK Style(カブクスタイル、長崎市)の「HafH(ハフ)」は、ホテルやゲストハウスなど、全国で約580カ所の宿泊施設を利用できる。1カ月間に利用できる日数が異なるプランを4つ用意。週末のみの利用なら、月額1万6千円で5泊できるプランが良さそうだ。施設によっては個室ではなく、寝室が相部屋になる。
チャットで施設周辺の飲食店や旅程について相談したり、航空券の手配などを依頼できたりするサービスもあり、滞在先をアクティブに楽しみたい人にも対応する。
Little Japan(リトルジャパン、東京・台東)の「Hostel Life(ホステルライフ)」は、相部屋が中心のホステル約40カ所が泊まり放題になる。相部屋の場合は月額4万5千円、個室の場合は同7万5千円で利用できる。秋田県や石川県などのホステルはワーケーション先として人気だという。
一方、普段はリラックスできる郊外の自宅で過ごしながら、定期的に都市圏に出社する人に向けたプランもある。東京、大阪、京都の中からホステルが泊まり放題になる1都府を選択できる。日曜日から木曜日のみ利用できるプランは月額3万3千円で利用でき、職場の近くを選んでおけば通勤時間の節約と郊外での暮らしを両立できる。
利用には注意点もある。ADDressでは1度に予約できるのは14日分まで、連続して予約できるのは1個室につき7日までだ。ホステルライフでは、宿泊の前日と当日にキャンセルした場合に別途1泊分のキャンセル料が発生する。
各サービスの利用者は増加傾向で、人気の施設が混み合うことも予想される。また月に一度も使わなくても定額料金がかかる。新型コロナウイルスの状況も見極めてしっかりと計画を練り、自由な働き方を満喫しよう。(赤堀弘樹)
[日経電子版 2021年06月20日 掲載]