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転職は一次面接が正念場 成功する3つのポイント

面接では一緒に働きたくなる人物イメージを示すのが重要(写真はイメージ =PIXTA)
面接では一緒に働きたくなる人物イメージを示すのが重要(写真はイメージ =PIXTA)

日経HRが実施した転職エージェント調査(2020年12月中旬に実施し、75人の転職エージェントが回答)では、コロナ禍で企業側の選考基準が厳しくなり、なかでも最終面接のハードルが上がったことを指摘する声が多かった。約4カ月が過ぎ、企業の求人需要や選考基準はどう変わったか。最終面接を突破するコツを含め、幹部層の転職を支援するジェイエイシーリクルートメントの富永暢昭さんに話を聞いた。

――コロナ禍が1年を超えた現時点での企業の求人需要や選考基準をどうみていますか。

「突然の『コロナショック』への対応を迫られた企業は、昨年末ごろまで中途採用において明確な方向性を示せないまま、その都度、対応を余儀なくされた『混乱期』にあったといえると思います。例えば、最終面接で落ちるケースが増えたというのは、現場(採用部門)がコロナ禍前の基準で最終面接まで進めたものの、コロナ禍後の経営環境にシビアな経営層がより厳しいものさしにかけたことで『見送り』になった、つまり、混乱が続くなか、経営層と現場の目線がずれていたことが一因だったと考えられます」

「今年に入り、企業の中途採用に少し変化が出てきました。経営層を中心にコロナ禍で生き抜く方向性が見えつつあり、昨年までの『コロナ混乱期』を脱し『コロナ定着期』になったと感じます。『定着期』では、経営層と現場の認識のずれが小さくなったため、1次面接の段階から選考基準が厳しくなり、最終で落ちることが減ってきたようです。求人需要に関しては、外食・小売りなど店舗ビジネスのセクターは厳しい状況が続く一方、好業績企業では昨年採用を控えた影響で人手不足になっており『昨年の分まで採用したい』という声も聞かれます」

「今後のコロナ禍の状況次第ですが、今年度(22年3月期)の中途採用は全般に回復基調が見込まれ、コロナ禍前の水準に戻る可能性もあります。ただ、依然として先行き不透明な時代であることに変わりなく、選考基準を緩めてまで採ろうという動きは見られません。コロナ禍前は『スキルの評価:非常に高い、人柄の評価:少し低い』という人材が採用されていた企業でも、今は両方とも『非常に高い』でなければ採用しないといったように『妥協せずしっかり見極める』という方針の企業が大半を占めています」

面接で心がけたい3つのポイント

――企業が求める人材像について、変化がありましたか。

「コロナ混乱期から定着期になっても、企業が中途採用で求める人材像に変化はありません。業種を超えてよく言われるのが『変化に対する柔軟性を持つ人』『新しい環境への適応力が高い人』。リモートワークが広がってきたことで『自走できる人』という条件を掲げる企業も増えてきました。既に人間関係ができている既存社員と違い、リモートで質問できる機会が限られるなか、『自らで考え、実行し会社に貢献できるか』が重要な指標となってきています」

――1次面接のハードルが高くなってきたようですが、最初の面接で成功するポイントは何ですか。

ジェイエイシーリクルートメントの富永暢昭さん
ジェイエイシーリクルートメントの富永暢昭さん

「まず前提として、1次面接には企業側から現場(採用部門)と人事担当者が参加するケースが多いことを押さえておきましょう。また、面接の機会を与えられた、つまり、書類選考に通過したということは経歴書の内容に企業が興味を持っている状態であることも理解しておくべきです。その上で、以下の3つのポイントを面接官にアピールする必要があります」

「第一に、『即戦力として貢献してくれるか』。経歴書上の職歴に関心を持ってもらっている状態なので、その経験に対しての深掘りの質問にしっかりと答えることが重要です。第二に『一緒に働きたい』と思える人間か。面接における受け答え全般を通して、誠実さや信頼性、バイタリティーを会話ににじませ、「一緒に働きたい」という感情を持ってもらえるか、が問われます。清潔感のある身だしなみや背筋を伸ばし堂々と話すといった基本動作にも心配りが必要です」

「第三に『自社に入社する必然性があるか』。現職を辞める理由と応募企業への志望理由をつき合わせ、『それならば当社に加わってくれたら、お互いにハッピーですね』という必然性を感じてもらえると良いでしょう」

「しゃべりすぎ」はかえってマイナス

――最終面接のポイントを教えてください。

「主に経営層が担当する最終面接、突破するポイントはずばり1次面接にあります。1次面接の場で仕事内容、配属部門の人員構成、(当該企業の)現在の課題、採用の目的、候補者に期待するポイントなどを積極的に質問することをおすすめします」

「求人票に書かれていない情報を、できるだけ多く引き出すことで『今回のポジションにおいて企業が重視するポイント』がみえてくるはずです。自分が入社したら、どのような改善や貢献ができるかを1次面接後にしっかりと整理し、最終面接は1次でみえてきた、会社側の課題に対する『提案』の場とする――。これにより、企業側から『採用したい人材』と認識される可能性がぐっと高まると思います」

「最終面接を担当する経営層は、即戦力として貢献してくれるかを前提としつつ、中長期の視点で『将来にわたってどのような貢献をしてくれるか』『自社に長期間根付いて活躍してくれるか』を重視しています。自分が中長期で実現したいことを示したうえで、それがいかに会社の方向性にフィットするかを説明できるとよいでしょう。ポイントは、将来にわたって会社に貢献できる人材であると示すことだと思います」

――面接全般での注意点は。

「長く話しすぎないことです。経験豊富なミドル・シニア層ほど、長々と話してしまいがちです。しかし、長くなればなるほど、相手が聞きたかったこととずれていく可能性があります。イメージとしては、一つの質問に対し、最初は自分が答えようとする分量の6割ぐらいで返し、追加の質問が来たらその都度2割ずつ加えるという形です。興味を持ってもらえたら必ず追加質問が来るので、最初からすべて話す必要はありません」

「面接に臨むにあたり、内定獲得を目指すのはもちろんですが『自分が取り組みたいことを実現できるか』『自分の力を発揮して貢献できる仕事か』を確認することも同様に重要です。受かることだけを目的として、その場を取りつくろって内定を得ても、入社後にミスマッチが発覚することはお互いにとって不幸です」

「面接はあくまで『対話の場』。片方が主導権を持って、片方が受け身で答えるといったものではなく、対等な両者が会話のキャッチボールを繰り返し、相互理解を深めることを目指してみてほしいと思います」

富永暢昭
ジェイエイシーリクルートメント エグゼクティブディビジョン シニアプリンシパル。大手金融機関に勤務後、2004年JAC入社。2011年から経営幹部層に特化した人材紹介に従事。経営層を含む、企業の重要ポジションの紹介を通じ、企業の発展と経営幹部層のキャリアを支援するプロフェッショナルコンサルタント。

[NIKKEI STYLE 出世ナビ 2021年04月17日 掲載]

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