デジタル庁人材、まず新興から 官民「回転扉」設計へ

関連法案が衆院通過

デジタル庁設置などの関連法案が6日、衆院本会議で可決し、参院に送付された。政府は法案成立に先立ちスタートアップ企業出身の人材を中心に採用を決めた。政府システムに詳しい大手ベンダーからも集める方針で、官民を往来する「リボルビングドア(回転扉)」を可能にする制度を整える。

与党などの賛成多数でデジタル改革関連法案が可決され、一礼する平井デジタル相(6日午後、衆院本会議)
与党などの賛成多数でデジタル改革関連法案が可決され、一礼する平井デジタル相(6日午後、衆院本会議)

政府は参院審議を経て月内にも法案成立をめざす。デジタル庁は9月1日に創設する。非常勤職員を含め500人規模の組織とし、省庁の事務次官にあたる特別職の「デジタル監」ら2割を民間から登用する。

平井卓也デジタル改革相は6日の記者会見で、同庁発足に向けた民間人材を4月に35人採用する方針を明らかにした。エンジニアの採用が多く、政府情報システムの統一や自治体システムの標準化など事業ごとに募集した。

採用予定者はスタートアップ企業の人材が中心だった。クラウドシステムやデザイン設計などスタートアップが得意とする分野だったのが主な理由とみられる。平井氏は「大企業をやめて参画される方もいた」と言及した。

今回は非常勤や兼業・副業が前提の採用となる。幹部職を含めた常勤職員の採用には、契約関係を明確にするうえでデジタル庁設置の根拠となる法案成立が必要だとみる。

法案成立後、専門人材を集めやすくするため、米国などでリボルビングドアと呼ばれる取り組みの設計を急ぐ。

官民で人材が行き来する文化が根付けば民間の最新の知見や技術を政府内に取り込む機会が増える。米国の場合、民間出身者も情報機関や軍事分野で使われる最先端のIT(情報技術)に触れるため職歴として高く評価される。

課題になるのは同庁に社員を派遣した企業が受注しやすくなるなど癒着に結びつかないよう透明性を確保するしくみだ。

同庁は政府や自治体のシステム統一を柱に掲げる。今のシステムは大手ITベンダーが取引してきたケースが多い。

日本総合研究所の野村敦子主任研究員は「知見のある大手ベンダーの人材採用は必要不可欠になる」と話す。

平井氏は「本人が関わっていた会社が参画する場合はプロジェクトから外れてもらうなど厳しいルールを設けている」と説く。現在の内閣官房IT総合戦略室でこうした運用をしている。

デジタル庁では課長級など若い年齢層も行き来するなど官民交流を大幅に拡大するのを想定しており、類似のルールを検討する。

情報管理も欠かせない。同法案の国会審議で野党議員から国の管理する情報が民間に漏洩するとの指摘が相次いだ。平井氏は「重要な情報についてアクセスできる職員を必要最小限に限定する」との方針を説明した。

民間出身者が情報へのアクセスを大幅に制限される場合、同庁で勤務する魅力が薄れ交流が進まないおそれがある。

情報管理や官民癒着への懸念を払拭しつつ、民間出身の職員にどこまで権限を与えるかの線引きが問題になる。

先行採用の35人の給与水準は年収換算で最大1千数百万円を想定する。通常の国家公務員より高い設定だが呼び水になる水準とは言い切れない。

米国の場合、ホワイトハウス傘下の米国デジタル・サービス(USDS)が政府のデジタル化を助言する。採用した技術者には年間10万~17万ドルの給与を支払う。

民間企業ならさらに高額の報酬が期待できる。人材獲得のために待遇を競うようになり、日本国内でも年収数千万円を提示する企業は少なくない。

[日経電子版 2021年04月06日 掲載]

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