
【フランクフルト=深尾幸生】スウェーデンの高級車大手ボルボ・カーは30日、4月1日から、全世界の従業員に24週間の育児休暇を付与すると発表した。父母や養父母、同性婚などの区別はなく、工場勤務を含む約4万人の従業員を対象とする。働き方が多様化するなか、優秀な人材の確保を目指す。
勤続1年以上であれば誰でも取得できる。親になってから3年以内に24週間を分割して休むこともできる。ボルボは育児休暇中も基本給の8割を支払う。
ボルボはこれまで世界統一の育児休暇制度はなく、各国で定めていた。地元のスウェーデンでは比較的手厚い公的制度があるが、中国や米国では特に父親は長い育児休暇がとりにくかった。男女間の格差を減らして従業員の多様性を高める。
自動車業界でこうした制度を世界的に導入する例は珍しい。24週間の育児休暇を「当たり前」とすることで、従業員の6割を占める生産現場などではそれを見越した人員計画を作る。
電気自動車(EV)や自動運転などの技術で自動車メーカーの競合相手は自動車メーカーにとどまらなくなっている。人事担当のハンナ・ファーガー上席副社長は日本経済新聞に対し「コストの評価は難しいが、長い目で見てメリットが大きいと確信している。競争環境が大きく変わるなかでどんな人材を集めてどんな人材を昇進させるかが重要だ」と述べた。
[日経電子版 2021年03月31日 掲載]