22年春の大卒採用4.4%増、12年連続プラス 本社調査

日本経済新聞社が21日まとめた2022年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、大卒採用計画は21年春実績見込み比4.4%増となった。新型コロナウイルスの影響により旅行や鉄道などが採用を抑える一方、電機は2桁増を計画する。自動車も増やす方針で、デジタル化や脱炭素に必要な人材への強い採用意欲が鮮明になった。

主要企業4878社の採用計画を聞き、3月4日までに未確定と回答した企業も含め2213社を集計した。大卒の採用計画総数は約8万9600人とリーマン・ショック後に採用数が回復した11年度以降12年連続で増えた。増加幅も前年の2.6%から拡大した。

前年の当初計画は4.2%増だったが増加幅が縮んだ。22年春も事業環境や学生の応募状況によっては下振れる可能性がある。

リーマン危機の影響が強く出た10年度は19.6%減。新型コロナの影響を多くの企業が受けるなか、当時と異なるのは一定の新卒を確保しようとする動きだ。企業によってはリーマン危機後の採用抑制により、世代別の人員構成に偏りが出た。その反省から「極端な採用減には慎重になり、新卒獲得の意欲は底堅い」(浜銀総合研究所の遠藤裕基主任研究員)。

リーマン危機後とのもう一つの違いは、電気自動車(EV)といった環境分野やデジタルなど新たな事業領域を伸ばそうとする企業の動きだ。理工系は8.4%増と、文科系の2.9%増を大幅に上回る。

業種別では電機が10.8%増を計画し、なかでも電子部品は13.8%増だ。半導体大手のロームは32.8%増の約170人とする。電力を制御するパワー半導体などの需要がEV向けに高まるとみて「エンジニアを中心に積極的に採用する」。

日本電産グループも理工系学生を増やし、全体で2割増の139人とする。EV用駆動モーターの需要が増えており、理系人材を確保して事業拡大につなげる。

ほかの電機大手も高水準の採用を続ける。日立製作所は600人、ソニーグループは1100人とそれぞれ前年並みの新卒確保を目指す。ソニーは稼ぎ頭のゲームや画像センサー事業を中心に積極的に採用する。京セラグループはスマホ用電子部品に加えて「システム関連の採用を増やす」ために全社で12.8%増の約580人を計画する。

自動車・部品は5.4%増だ。EVの開発競争が激しくなるなか、有望な人材の確保にむけ企業が採用を増やす。

デジタルなど専門人材への採用意欲は非製造業でも強い。パソナグループは2割多い約180人を計画する。「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を開拓するためにエンジニアなどを増やす」という。大和証券グループも18.5%増の385人を採用する。個人向け営業の人員に加え、ITやリスクマネジメントなど専門性の高い学生を確保する。

コロナ禍で事業環境が大きく変わり、採用を控えざるを得ない企業も多い。鉄道・バスは外出自粛や訪日客需要の蒸発をうけ、29.1%減を計画する。

「経営環境の激変により事業全般の構造改革が必要」「厳しい経営状況を踏まえた効率化などを勘案した」。JR東日本とJR東海はそれぞれ採用数を38.8%、19.7%減らす理由をこう説明する。JR東はチケットレス化や保守・点検の機械化も合わせて進め、スリム化を急ぐ。

旅行需要が激減したJTBグループは採用を見送る。21年3月期の連結経常損益は過去最悪の約1000億円の赤字を見込む。早期退職などに合わせ採用も見合わせる。

在宅勤務の普及により、アパレルを含むその他小売業は5.8%減だった。青山商事グループは80人と前年度から4割減らす。オフィス着のカジュアル化でスーツ販売が苦戦しており、22年3月期までに全店の2割にあたる160店を閉じる計画。事業縮小にあわせて採用も抑える。

22年春入社の採用活動は3月から本格化している。就職情報大手のディスコ(東京・文京)によると、1日時点の内定率は21.1%と前年同月を5.2ポイント上回っており、有望な学生を前倒しで囲い込む動きが強まっている。

[日経電子版 2021年03月22日 掲載]

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