日本IBM、国内最大級の中途採用1000人 DX人材拡充

日本IBMは顧客企業のDXに対応できる中途人材を増やす
日本IBMは顧客企業のDXに対応できる中途人材を増やす

日本IBMは2021年度に前年度比2倍の1000人以上を中途採用する。デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む顧客企業が増え、対応人材を拡充する。日立製作所や富士通、NECなどもここ数年で中途採用を大きく増やしているが、1000人規模は国内IT(情報技術)では過去最大級。不足する高度人材の獲得競争が激しさを増している。

日本IBMが中途採用するのは、顧客企業のDXを推進できる人材だ。情報システムやクラウド、人工知能(AI)などの知識を持ち、事業変革や新サービスを顧客企業と共同で考案していく。

競合のIT企業のほか、他業界からも広く人材を募る。求人サイトやエージェントを介した募集に、社員の紹介なども加え1000人以上の獲得を目指す。IBMの中途採用は2018年度から20年度まで500~600人程度だった。「DX案件では、顧客企業の課題と事業変革に対する要望を丹念に聞き出す必要があるが、そういった高度人材は全く足りていない」と日本IBMの山口明夫社長は話す。

IT大手はDX業務を担う人材の獲得に余念がない。日立製作所は20年度に400人を中途採用した。前年度の300人から100人増やした。採用を優位に進めるため、デジタル人材採用コースを設け、給与も個別に設定する。

富士通は20年度に例年の2倍に当たる約300人を採用し、21年度も300人以上の採用を計画する。NTTデータも20年度に前年度比1.5倍の約300人を中途採用しており、21年度も同規模の中途採用を目指す。NECは20年度に前年度比100人増の約400人の人材を中途で採用した。

パーソルホールディングス(HD)傘下のパーソルキャリア(東京・千代田)によると、IT・通信系技術者の2月の転職求人倍率は8.67倍。全体の倍率(1.92倍)に比べ突出して高く、人材獲得競争が過熱している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、苦戦するサービス業を中心に採用を抑える企業がある一方、IT人材では「売り手市場」の状況が当面続きそうだ。

[日経電子版 2021年03月19日 掲載]

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