次世代リーダーの転職学

広がるオンライン転職面接 応募から内定まで期間短く

エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

オンライン面接は転職採用でのベーシックな手順となってきた(写真はイメージ) =PIXTA
オンライン面接は転職採用でのベーシックな手順となってきた(写真はイメージ) =PIXTA

新型コロナウイルス禍は企業の採用活動も一変させました。転職採用シーンでの最大級の変化はオンライン面接の定着でしょう。運用がこなれてきたのに伴い、進め方や活用法にも一段の成熟がみられます。今回は、特に柔軟かつスピーディーにオンライン面接を導入したスタートアップやベンチャー企業の例を交え、採用選考の最新トレンドや、応募者にとってのオンライン面接の活用のポイントについてお伝えします。

早い企業では2020年3月から、多くは緊急事態宣言が発令された4月以降、面接をオンライン化しました。それから1、2カ月もすると、オンライン面接がもたらすメリットや、難しいポイントなどがわかってきました。この連載でも20年6月、オンライン面接について、メリットや注意点などを紹介しました。(「オンライン面接の新常識 『伝わりにくさ』を破るコツ」

それから半年以上が過ぎました。コロナ禍が長引く中、オンライン面接はすっかり定着。企業はオンライン面接のメリットを活用するようになっています。そして、うまく活用した企業が採用に成功していると言っていいでしょう。

求職者側もリモートワークが習慣化し、オンラインミーティングに慣れてきています。このように、双方のオンラインコミュニケーションがこなれてきたことから、オンライン面接にもさらに進化が見られます。

面接以前の「カジュアル面談」から経営陣が登場

従来の転職活動では、書類選考に通過すると面接に招かれ、平均3回程度の面接を経て採否が決まっていました。1次面接は人事担当者、2次面接以降は現場担当者(逆もあり)、最終面接は役員クラス以上、という流れが一般的でした。

しかし、オンライン面接が定番化して以降、本格的な面接の前に「カジュアル面談」を実施するケースが増えています。「応募するかどうか決めていなくても、一度お話ししてみませんか」「お互い情報交換をしませんか」というような感じです。

そして、スタートアップや中小ベンチャーでは、カジュアル面談から「社長」が登場することも。コロナ禍で会談、会食、出張などが減っているため、経営者も比較的時間に余裕がある状況です。そこで、経営戦略の要となるポジションの採用となれば、経営者が直接カジュアル面談を行い、「ぜひほしい人材」と判断したら、速攻で自ら口説き落とすというケースが見られます。

経営幹部の採用だけに限らず、人事や経営企画、若手営業職や秘書などでも、期待が持てると感じた人物であれば、経営者自ら自社のプレゼンに乗り出すのです。

初回面接以降の運びがスピードアップ

カジュアル面談の場合、一般的な面接マニュアルのように「経歴は」「転職理由は」「志望動機は」といった質疑応答はありません。まず求人企業側の経営者がZoomなどの画面共有機能を使い、資料を表示してプレゼンテーションをしながら、創業の背景や理念、想いやビジョンを語ります(経営者と同レベルでそれらを語れるメンバーがいる場合、その人がカジュアル面談を行うこともよくあります)。

時間は30分~1時間程度。「最初からいきなり暑苦しくしてはダメだよね」と、求職者の負担にならない程度の時間が設定されることが多いようです。そして、求職者側が理念やビジョンに共感して会社への興味を強めたら、次の面接が組まれます。

次の面接も、「現場責任者から具体的なミッションを聞く」「現場で一緒に働くスタッフに仕事の進め方や働き方を聞く」「人事に労働条件や待遇面の情報を聞く」など、その人に合わせてカスタマイズした形で行われています。

ちなみに、金曜に初めてオンライン面談を行った社長と求職者が、土日のうちに一緒に食事に行って一気に距離を縮めたというようなこともありました。デキる経営者ほど、目的を達成するための行動がスピーディー。幹部スタッフの採用が、初回面談から1週間以内に決まるようなケースもあります。

面接のオンライン化後、オフィスをわざわざ訪問するのとは異なり、コミュニケーションが手軽になって、企業側も求職者側も物理的・心理的なハードルが下がっています。

転職を考えている皆さんとしても、気になることがあるなら選考の過程で、「現場で働く皆さんとお話しさせてください」などと相談してみてはいかがでしょうか。

今の環境であれば、メンバーのスケジュールが調整しやすくなっているので、1回のオンライン面接で3~4人のメンバーと話ができるケースもあります。

次回面接の候補日程に「翌日」が含まれることも

オンライン面接に慣れてから変わってきたことの一つに、「選考期間の短縮化」があります。かつては面接を通過し、次の面接日程が組まれることになった場合、おおよそ「1週間後以降」を候補日に設定したものですが、最近では「明日以降」で候補日が提示されるケースが増えてきました。

企業側の面接担当者も求職者側も在宅ワークが増えたことから、時間の使い方に融通が利くようになり、1週間も空けなくても早期のタイミングで時間を調整できるようになったのです。

オンライン面接に移行してしばらくは、これまでの習慣を引きずってか、「1週間後以降」で設定されていました。しかし、最近では企業が候補日程を挙げてくる際、「翌日」「翌々日」も含まれていることが多いのです。

また、不要不急の外出を控え、休日に遊びに出かけることも減っていることから、「土日」が候補に挙げられることもあります。

このように、面接が早く進むので、応募から内定までの期間も短縮しています。早い人であれば、初回面談から1~2週間で内定が出ることもあり得ます。転職活動をする皆さんとしては、そうした状況であることを踏まえ、転職活動のスケジュールを立てることが大切です。

大手企業でもオンライン面接の導入により、選考期間が短縮されていますが、スタートアップやベンチャーに比べると時間がかかります。大手とスタートアップ、両方の選択肢を検討している場合は、応募のタイミングについて調整を図ることをお勧めします。

「オンラインプレゼン力」が向上している

オンラインで仕事をすることに慣れてきた今、オンライン面接の場においても、「プレゼン」のワザが向上してきたと感じます。企業側が自社の説明をするにしても、応募者側が自己アピールをするにしてもです。

画面にパワーポイント資料を表示しながら説明をする。これが双方に「わかりやすい」と好評です。

これまでも企業側が面接中に自社の資料をスライドに映し出して説明することはよくありました。最近では応募者側が職務経歴書、あるいは自分の仕事内容や強みなどをまとめたパワポ資料を、オンライン面接中に画面に表示しながら説明する場面がよく見られます。

オンライン面接に同席している私から見ても、内容が伝わりやすいと感じます。「プレゼンスキルが高い人」と、好印象を抱きます。ちなみに、バーチャル背景を「履歴書」にして、それを指しながら説明していた応募者もいました。

リアルな面接であれば、面接官は資料の内容と応募者の顔を同時に見ることはできません。その点、オンライン面接の画面では、プレゼン資料の内容を見ながら、応募者の表情も確認できるということで、面接側は「資料の画面表示」を歓迎しています。

これからオンライン面接に臨む予定がある人は、事前に自分のプレゼン資料を作成しておき、活用してみてはいかがでしょうか。もちろん、「口頭で説明してほしい」という企業もあると思いますので、資料を画面表示しながら説明してもいいかどうかを、事前に確認しておいてください。

また、プレゼンという点でいえば、オンライン面接の「背景」に気配りができていない人もいまだに見受けられます。背後に整えられていないベッドや、マンガだけの本棚が映り込んでいることも。

そうした背景からマイナス印象を抱かれてしまうこともあり得ます。それが採否の決め手になることはないにしても、面接する側が気になってしまうと、会話に集中できないかもしれません。部屋のレイアウトを変えるなり、バーチャル背景を使うなりして、工夫してみてください。

部屋の見え具合が「暗い」のは、やはりイメージダウンとなるので、照明にも気を配りたいものです。「テレワークが導入されてからこんなに時間が経っているのに、まだ整備ができていないのか」などと思われないようにしましょう。

企業はオンライン面接にメリットを感じており、コロナ禍の収束後も活用していくとみられます。最終面接など、どこかのタイミングでは対面面接が設けられるでしょうが、1次・2次面接についてはオンライン面接を基本にする企業も多いと思われます。画面をうまく活用したプレゼンを工夫し、ライバルと差別化を図ってはいかがでしょうか。

森本千賀子

morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

[NIKKEI STYLE 出世ナビ 2021年02月12日 掲載]

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