日立執行役専務「ジョブ型導入、社員の行動変革を」

春季交渉21 焦点を聞く

日立の中畑執行役専務は「ジョブ型の導入で生産性も高まる」と強調する
日立の中畑執行役専務は「ジョブ型の導入で生産性も高まる」と強調する

2021年の春季労使交渉では、新型コロナウイルス終息後を見据えた働き方も争点となっている。大手企業が労組側に導入を訴えている「ジョブ型」雇用だ。段階的に導入する日立製作所の中畑英信執行役専務に狙いや交渉での焦点を聞いた。

――今春の交渉では賃金とともにジョブ型も議論の中心になります。

「短期的な賃金の話は大事だが、将来をにらんだジョブ型の議論も重要だ。17年から労使で20回近い議論を重ね、必要性は共有できている。9月にはすべてのポストの職務定義書(ジョブディスクリプション)が完成する。今年は社員がジョブ型を自分事として捉えて自らのキャリアを主体的に考える、行動変革の一年にしたい」

――日立にとってジョブ型はなぜ必要ですか。 

「事業内容が大きく変わったからだ。電力や鉄道など国内の取引先に製品を納める従前の事業モデルでは、顧客の要望に応じればよかった。いまは市場が海外に広がり、顧客の課題をIT(情報技術)などで解決することが求められる。これまでとは違う多様な人材が必要だ。ポストごとに必要な能力を明確にしなければ外部から優れた人材が入ってこない」

「ジョブ型で流動性が高まれば、成長事業に優秀な人材を重点的に配置しやすくなる。優秀な人材を特定の部門で抱え込まず成長性の高い事業に振り向ければ、全社の生産性も高まる。日本の労働人口が減るなか、女性や高齢者、転職志向の強い若者など多様な人材が活躍できるようにする狙いもある」

――労組は20年春を1千円下回る月2千円のベースアップ(ベア)求めています。コロナ下で応じることはできますか。

「コロナの状況や業績の不安定さなどをみて、引き下げたと受け止めている。回答を考える際には今後の経済状況や、当社の業績の先行きもみる必要がある。日立が賃上げをすることへの社会的責任や社員の士気向上への影響などを総合的に検討する」

――日立労組が加盟する電機連合は今春もベアの統一要求を維持しました。交渉時に意識しますか。

「日立は売り上げの半分を海外で稼ぎ、ビジネスも製品でなくサービスが主体だ。電機連合の他社だけではなく、外資系システム会社なども競合になる。賃金もこうした企業と絶対額で比べる必要がある。業容も業績も違う電機連合の他社の状況は基本的には気にせず、独自の回答を検討する」(聞き手は中村元)

▼日立製作所 1910年に現在の茨城県日立市で創業。20年3月期の連結売上高は8兆7672億円。連結従業員数は31万7818人(20年12月末)で海外が過半を占める。独自のIoT基盤「ルマーダ」を使ったデジタル事業に力を入れる。

[日経電子版 2021年03月06日 掲載]

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