接客業の人材採用、DX教育し派遣 アウトソーシング社

アウトソーシングは研修を実施した後、企業に派遣する
アウトソーシングは研修を実施した後、企業に派遣する

技術者派遣大手のアウトソーシングは、飲食や小売業など約3000人を採用し、デジタル人材に教育してIT(情報技術)企業などに派遣する。新型コロナウイルス下で接客業を中心に雇用環境が悪化する一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増え、デジタル人材は不足している。スキル転換を促し、需給のミスマッチを解消する。

子会社のアウトソーシングテクノロジー(東京・千代田)を通じ5月から1年かけて採用する。飲食や小売りのほか、宿泊や航空業からの採用を想定している。勤務地は全国各地の事業所で、基本給は月20万円から。別途、手当や残業代も払われる。

1カ月以上、研修したうえでソフト開発や電機、電子部品などの企業に派遣する。サーバーの設置を手掛けるネットワーク関連のほか、ソフト開発や機器の実験評価などの業務を想定している。人員削減に取り組む企業と直接連携し、人材の紹介を受けての採用も進める方針だ。コロナ収束後、本人が希望すれば元の職場に復帰することも可能という。

アウトソーシングは工場や研究所などへの技術者派遣の大手で、派遣会社としては国内5位前後。国内外に約2万人のエンジニアが在籍する。これまで経験者や新卒の理系人材を中心に人を集めてきたが、人手不足で採用が難しくなっている。飲食や小売業からデジタル分野へのスキル転換を促すことで、雇用確保につなげる狙いもある。

新型コロナの影響でサービス業などが雇用を減らすなか、人手が足りない業種での人材活用は労働市場の大きな課題だ。パーソルキャリア(東京・千代田)が運営する国内最大級の転職支援サービス「doda」の2021年1月の業種別転職求人倍率(転職希望者数に対する求人数の割合)を見ると、IT・通信は5.40倍で全業種中最も高く、サービス(2.08倍)や医療(1.83倍)、金融(1.52倍)が続く。一方で小売り・外食は0.59倍と最低だ。小売り・外食は新型コロナウイルス禍が深刻化する前の20年1月は1.09倍だった。

競合他社もスキルギャップを埋めて雇用移動に取り組む。派遣大手のスタッフサービス・ホールディングス(HD)は、技術者派遣子会社でプログラミングや表計算ソフトの使い方などの基礎的なスキルを身につけるための学習動画の提供を1月に始めた。期間は3月末までで、受講費用はスタッフサービスが負担する。「全くの未経験者でも一から学んでエンジニアとして働くことができる」(同社)という。

スタッフサービスHDの無期雇用派遣事業「ミラエール」では、20年10~12月の応募者は前年同期より7割増えた。「飲食業やサービス業からの応募が多い」(担当者)という。採用数は同5割増の660人だった。事務系派遣の求人件数は回復傾向にあるといい、21年1~3月期も同4割増の約720人採用する予定だ。

マンパワーグループは未経験者を介護人材に育成するプログラムを20年9月に始めた。「介護職員初任者研修」と「介護福祉士実務者研修」という資格をとるための受講費用などを同社が負担する。「サービス業など他業種の経験者も広く受け付けている」(同社)という。

[日経電子版 2021年03月03日 掲載]

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