副業でも給与2倍 新興が人材囲い込みに新制度

エックスアジアは副業人材向けに昇給制度を新設する
エックスアジアは副業人材向けに昇給制度を新設する

スタートアップの間で副業人材を手厚くもてなす動きが広がっている。副業人材を対象に昇給制度を設け、実力や成果に応じ給与を倍増したり、正社員に転職できるよう支援したりと優秀な人材を囲い込んでいる。

共同購入アプリ「カウシェ」を手がけるX Asia(エックスアジア、東京・渋谷)は、副業人材を対象に昇給制度を新設する。人事評価を始め評価の高かった上位2割の従業員を対象に、4月から給料を引き上げる。基本的に引き上げ幅は20%だが、月数万円の場合は最大で倍増する。半年ごとに人事評価を実施し報酬を定める。

同社は2020年4月創業のスタートアップで、複数のユーザーで食品を割安に買えるアプリを運営する。40人弱の従業員のうち約30人が副業人材で、開発や営業などの面で事業を引っ張っている。

副業人材を昇給制度の対象にするのは珍しい。昇給を社員のモチベーション向上につなげるほか、優秀な人材を採用するための呼び水にもする。「転職市場にはいない優秀なエンジニアに出会える」とエックス社の門奈剣平代表は副業の人材価値を評価する。副業する従業員を現在の30人から2021年3月には50人超に増やす計画だ。

最初は副業人材として受け入れた後、将来は正社員になってもらう採用手法も広がっている。副業仲介サービスを手掛けるオーバーフロー(東京・港)では、副業を入り口にしたうえで正社員化を図ろうとする企業がスタートアップを中心に増えているという。社員と企業双方にとってミスマッチが起きにくいうえ、採用側は転職エージェントも使わないため採用コストも抑えられる長所がある。

ただ、正社員と副業従業員との垣根があいまいになる中、労働契約も不透明になる恐れがある。労働環境に詳しいパーソル総合研究所(東京・千代田)の小林祐児・上席主任研究員は、副業人材を受け入れる企業に対し「副業人材の受け入れ先企業は、雇用か業務委託か明確にすることが求められる」と指摘する。副業を巡ってはグレーゾーンが生まれがちだが、勤務時間や給与額などについて企業と従業員双方が合意し、取り決めを交わしておくことが欠かせない。

[日経電子版 2021年03月01日 掲載]

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