首都圏の官民、コロナで苦境の業界から人材受け入れ

千葉県船橋市は客室乗務員ら6人を受け入れている
千葉県船橋市は客室乗務員ら6人を受け入れている

新型コロナウイルスの影響で人手の余剰感が出ている業界から、一時的に人材を受け入れる動きが首都圏で広がっている。旅行業界やホテルは仕事が減っている半面、自治体などコロナ対策に取り組む職場は人手が不足気味。異業種で人材を有効活用し、コロナ禍を乗り切る。

千葉県船橋市は1月から、ANAホールディングス傘下のエアージャパン(成田市)の客室乗務員らを非常勤職員として採用している。現在は中国語や英語に堪能なスタッフら6人が在籍し、市ホームページの外国語訳のチェックや外国人住民の窓口対応にあたっている。

国際交流課の高橋伸行課長は「客室乗務員とあって接客対応が非常に優れている。役所としても見習う部分が多い」と目を細める。契約期間は3月末までだが、新型コロナの感染状況も踏まえ、4月以降の継続雇用に向けて調整しているという。

神奈川県も全日本空輸(ANA)の社員を非常勤職員として採用。現在は約30人が健康医療局に所属し、新型コロナに感染した自宅療養者への電話連絡やデータ入力の作業に従事している。会社に籍を置いたままの兼業扱いで、コロナ禍が一服すれば職場に復帰する予定だ。

民間企業でも人材の受け入れが進む。電話対応の代行サービスを手がけるうるるは新型コロナの影響で休業したり、副業を求めたりする人々を在宅オペレーターとして採用。旅行会社やホテルの従業員の姿も目立つという。

テレワーク普及で同社サービスの利用申し込みはコロナ以前の約10倍に増加。受注拡大に合わせてオペレーターも7倍に増やしており、他業種からの雇用の受け皿となっている。

関東経産局は企業間の人材マッチングを始めた
関東経産局は企業間の人材マッチングを始めた

異業種間の人材の融通を行政も支援する。関東経済産業局は専門サイト「広域関東de人材シェア!」を立ち上げ、1月から人材の仲介・調整を本格的に開始。所管する1都10県から希望を募ったところ、輸送機器やホテル、結婚式関連など9社(16日時点)が人材の送り出しを申し出た。受け入れを希望する企業は150社以上と潜在的な雇用ニーズの高さを示した。

栃木県の航空機部品関連企業はコロナ禍で仕事が急減し、人手に余剰感が生じた。サイトを通じて受け入れ先の調整を依頼し、重機関連の企業に5人を派遣することができた。経産局の担当者は「大手と違い、中小企業は人材シェアが難しい。世界的に経済が停滞するなか、うまく人材を活用できるようにしたい」(社会・人材政策課)と話す。

[日経電子版 2021年02月18日 掲載]

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