採用活動オンラインで CASE人材狙うトヨタとアイシン

自動運転など「CASE」と呼ぶ次世代車の開発を手掛ける人材を獲得するため、トヨタ自動車とアイシン精機がオンラインの活用に力を入れている。ソフトウエア技術者向けに開発現場を紹介するイベントや、新卒採用のインターンシップ(就業体験)を、インターネットを経由した形で始めた。IT(情報技術)人材は将来的に不足が予想されている。ハードウエア中心というイメージを払拭するため、新たな取り組みに活路を見いだす。

トヨタは2月初め、技術者向けのオンラインイベントを催した。ソフトウエア開発を担う技術者2人が登場し、自動車の先進技術化に伴って制御系コンピューターの搭載数が急増している点や車載ソフトウエアが複雑化している現状を紹介した。様々な業界から800人程度が参加し、トヨタが進める車のシステム設計情報を管理するIT基盤の説明などに耳を傾けた。

トヨタは人材サービスのパーソルイノベーション(東京・港)と連携し、2020年10月から同様のオンラインイベントを始めた。これまで4回開いており、計約3600人から視聴の応募があった。ソフトウエア先行の開発方針を掲げており、転職を検討する関連技術を持つ人材に現場の仕事を通じて興味を持ってもらい、中途採用につなげる狙いがある。

アイシンは20年11~12月に、技術系の部署で現場業務を体験できるオンラインのインターンを初めて開いた。学生の就職活動が本格化する前に接点を持ち、CASE人材の獲得に先手を打つ狙いがある。アイシンによると自動車業界で現場業務を体験できるインターンをオンラインで開催するのは珍しい。

「自動運転関連のソフト開発」や「次世代ボディー開発」など80~100件程度のテーマを設け、学生は興味に応じて応募する。参加は理系の学生が対象で、約550人が応募し約80人が参加した。約30の部署が学生を受け入れた。今回は人工知能(AI)やプログラミングの技術が学べるメニューも増やした。

例年、夏に2~3週間のインターンを開いてきた。20年はコロナ禍のため中止したが、オンラインでの代替を決めた。担当した人事部の前田裕希さんは「社員らによる座談会だけでは、アイシンの仕事の面白さを伝えられない」と話す。

例年のインターンとほぼ内容を変えないために体制を整え、学生一人ひとりに専用パソコンを送った。機密情報が漏洩しないよう設定した上で関連データを保存したサーバーに接続できるようにした。参加学生に課題を出し、アイシン社員が添削まで手掛けた。

先端技術を持つ人材は、GAFAなど米IT大手など異業種との取り合いになっている。経済産業省が委託したみずほ情報総研の推計によると、IT需要の伸びを中位(2~5%)とした場合基本的な生産性向上を加味しても、日本国内で30年には45万人のIT人材が不足すると試算する。

自動運転やクルマをインターネットにつなぐコネクテッド技術など、世界的にCASE領域の開発は加速している。優秀なIT人材を獲得できるか、重要性は増している。

(広沢まゆみ)

[日経電子版 2021年02月04日 掲載]

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