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転職の先行き、求人増予想が7割 新卒からシフト進む

転職エージェント調査(2)

コロナ禍は採用の手法にもマインドの変化をもたらした(写真はイメージ) =PIXTA
コロナ禍は採用の手法にもマインドの変化をもたらした(写真はイメージ) =PIXTA

日経HRが転職エージェントを対象に実施した調査によると、2021年の中途採用の求人件数は20年の新型コロナウイルス禍による落ち込みからの反動増を予想する人が半数を超えた。中長期の転職市場については求人需要の拡大を予想するエージェントが7割強に達し、企業の採用における新卒から中途へのシフトや事業構造の転換で外部人材の必要性が高まることなどを背景に人材流動化が続くとの見方が強いようだ。

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同調査は日経HRが20年12月中旬に実施し、75人の転職エージェントから回答を得た。「2021年の中途採用の求人件数がどう推移するか」については、意見が分かれた。

「大幅に増えると思う」(2.7%)と「少し増えると思う」(50.7%)を合計して53.4%。コロナの打撃が大きかった20年の水準からは回復を見込むとの回答が半数を超えたものの、「変わらず」が22.7%、「少し減ると思う」が21.3 %、「大幅に減ると思う」が2.7%と弱含みの予想を示す人も少なくなかった。「コロナ次第」との意見が目立ち、今後のコロナの先行きによっては予想が変わる公算が大きい。

自由回答

【少し増えると思う】
・先行き不透明感で採用を停止していた企業が、再開すると思われるため
・コロナが落ち着けば、採用を抑制してきた反動が来ると思われる
・事業構造変化や新規事業進出の場合、既存社員だけでは成り立たない企業が多い
・中途>新卒の構図になり、即戦力で活躍できる人材を企業が探す傾向になる
・早期退職等で優秀な人材がマーケットに供給され、人材確保の好機ととらえた企業の中途採用活動が活発化する
・コロナの終息とともに、新たなビジネスニーズが生まれるため
・コロナ勝ち組企業の採用の増加

【変わらず】
・採用難易度も上がることから大きく目標が増えることはないのでは

【少し減ると思う】
・コロナの影響が2021年も続くと考えている
・コロナが落ち着くか、今の段階では見通しが立たず、採用が伸びないのでは

「中長期的に中途採用の求人件数がどう推移するか」を聞いたところ、「大幅に増えると思う」(17.3%)と「少し増えると思う」(56.0%)をあわせ7割を超えた。コロナによる落ち込みからの反動増を予想する声が多かったほか、「企業の経営変革のスピードが年々上昇していくため、人材の外部調達が一層必要になる」(大幅に増えると思う)や「少子化で新卒採用の減少が続き、即戦力を求める企業が増加する」(少し増えると思う)といった見方が出ていた。

欲しい人材に絞った「攻めの採用」へ

自由回答

【大幅に増えると思う】
・コロナが落ち着けば反動採用に入る
・企業の経営変革のスピードが年々上昇していくため、人材の外部調達が一層必要になる

【少し増えると思う】
・ビジネスの形態を変えていく企業が多いと推察されるため。その際に教育では追いつかないことから採用活動は増加すると思う
・新しい構想や施策に合った人材は社内ではなかなか見つけられないため
・選択と集中の中、二極化の方向になり好調な企業にのみ求人と人材が集中し、結果、選考基準も上がっていくことになりそう
・少子化もあり新卒採用の減少は続き、即戦力を求める企業の増加
・自然減や40代以上のリストラで人を減らしたが、これからの時代に対応できる戦力は流動化が進むと思われる
・人口減少が続き、各社優秀な人材の取り合いが起こっている
・テクノロジーが発達してきているので、人を置かなくてもいい業務が増えるため
・先の見通しが立たないように感じている企業が多いのではと思う

【変わらず】
・増える分野もあれば減る分野もある
・現職に不満を持つ人、転職することに慎重になる人のバランスが変わらなそう

【少し減ると思う】
・各社の収益状況は二極化がさらに進み、収益重視で効果的な人材確保に重点を置く傾向が強くなる
・株価のバブルがはじける

■リクルートワークス研究所 主任研究員 中村天江さんの話

中途採用は新卒と違い、採用時期が未定で「いつまでに何人を必ず採用しないといけない」という目標が明確ではないため、コロナのように先行きが不透明になったとき、企業が様子見姿勢に転じやすい。採用基準も企業の経営環境次第で厳しくなりがちで、コロナ以降、多くの会社で「是が非でも来てほしい人だけ採用する」という判断になったのだろう。

中長期的な中途採用拡大を予想する声が多かったことが示すように、新卒から中途へのシフトに加え、コロナの影響で事業構造が一段と変化し、DX(デジタルトランスフォーメーション)やIT(情報技術)など社内にはいない人材をとるための「攻めの採用」がますます重要になる。

また、今回の結果はあくまで転職エージェントへのアンケート調査だということに留意したい。転職エージェントは通常、転職サイトなどでは採用が難しいエンジニアや管理職といった「タレント人材」をとるために企業が利用するもので、まとまった人数を採用するポジションと比べ、企業が求める人材の基準が高くなりやすい。

都市部では民間のサイトとエージェント、地方ではハローワークが転職の主流になっているように、自らの環境や目指す求人の種類に応じ、適切な転職ツールを使い分けることをおすすめする。

(日経転職版・編集部 宮下奈緒子)

[NIKKEI STYLE 出世ナビ 2021年01月30日 掲載]

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