テレワークで勤務多様に 富士通は遠隔地の居住解禁

国内のテレワーク実施率は20年12月時点で21.5%と19年12月の2倍になった
国内のテレワーク実施率は20年12月時点で21.5%と19年12月の2倍になった

新型コロナウイルス感染拡大で、テレワークを前提とした多様な働き方が広がっている。富士通は配属地以外での遠隔勤務を認め、単身赴任の解消につなげる。ソフトウエアのテストを手掛けるSHIFTは在宅専門のエンジニア採用を始めた。休暇先で業務を行うワーケーション制度を導入する企業も増えている。テレワーク助成なども広がり、暮らし方や場所の制限を受けない全員参加型の働き方が可能になってきた。

内閣府が2020年12月に全国約1万人を対象に実施した調査では国内のテレワーク実施率は21.5%と19年12月調査(10.3%)の2倍。東京23区内の実施率も同2.4倍の42.8%と、テレワーク普及が進む。

富士通はこのほど、遠隔勤務を認めた。親の介護や配偶者の事情で遠隔地に移住せざるを得ず退社するケースがあった。人材を引き留めるためにも部署やポストも変わらず、テレワークで仕事を継続できるようにした。東京都内の本社に所属しながら奈良県や福岡県から働く社員もいる。

約4千人いる単身赴任者も本人が希望すれば家族がいる場所に戻り、遠隔勤務に切り替えられるようにもする。富士通はオフィス出社は最大25%に抑えている。国内グループ会社を含めたオフィス面積を約3年で半減する作業も進めている。

日本でも共働きの一般化で配偶者の転勤に伴う帯同は難しくなっている。夫婦がそれぞれのキャリアを継続するため片方が単身赴任を選ぶケースは多い。

水処理大手のメタウォーターも20年夏、テレワークを活用することで単身赴任を解除する仕組みを導入。すでに約10人が単身赴任を外れ、帰任した。カルビーも所属部門が認めた場合の単身赴任の解消を決めた。

テレワークは欧米に比べて遅れていた「ワーケーション」の普及も後押ししそうだ。日本航空(JAL)は20年4~12月に延べ688人が利用した。働く動機を高める効果を期待して、顧客情報管理の米セールスフォース・ドットコムの日本法人は和歌山県白浜町にある施設でワーケーションを認めている。

テレワークは企業の拠点が少ない地方に住む人々の働く機会の拡大にもつながる。SHIFTは居住地を問わないテレワーク専門職の採用を始めている。SHIFTがオフィスを持たない広島県で業務に従事している社員がいるという。

テレワークで副業の機会を得る人も多い。地方企業に対してネット経由で副業人材を仲介するJOINS(東京・千代田)では、20年12月末時点で専用サイトに登録する副業希望者は約5千人となり、同1月比で4倍に増えた。中小企業のホームページ制作を支援するITエンジニアなどの登録が増えており、「在宅勤務の浸透で、本業との両立が可能になったことが大きい」(同社)。

少子高齢化の加速で国内の労働力人口は減少が続く。パーソル総合研究所(東京・千代田)と中央大学は、30年時点で労働需要が労働供給を644万人上回ると予測する。場所を選ばないテレワークが普及すれば、女性や高齢者などの労働参加も高め、中長期的な日本の労働力不足を緩和する効果も期待できる。

[日経電子版 2021年01月19日 掲載]

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