
アフラック生命保険は2021年から管理職の報酬を国内大手企業の上位4分の1の水準に連動させる。コンサルティング会社のデータを使い、それぞれのポストについて、他の企業が同等の職責の人にどの程度の報酬を与えているかを調べて設定する。管理職の転職が広がることもにらみ、高水準の待遇であることを明確にして優秀な人材の獲得と引き留めを狙う。
職務内容を明確にするジョブ型雇用の導入に合わせて実施する。まず全部門の部長職や課長職など約700人の管理職に関し、仕事の難易度に応じて基本給などの報酬額を設定する。従来の部長職といった役職別の設定は廃止する。同じ部長職や課長職の間でも、職責の大きさによって差が広がる。
新たな報酬水準は米人材コンサルティング大手コーン・フェリーが集計した国内大手企業のデータを基に、職務ごとに上位4分の1に入る企業の給与水準を採用する。国内大手企業の具体的な範囲は売上高など複数の指標で決める。調査の更新に合わせて報酬水準を定期的に見直す。転職市場も意識した水準の設定と言えそうだ。
ジョブ型雇用は年功序列を廃し、それぞれのポストごとの職務内容を定義して報酬を決める。社内外から最適な人材を起用する狙いで導入が広がり、転職の増加が見込まれている。アフラック生命は国内大手企業の多くに見劣りしない待遇を示し、人材をつなぎ留める狙いだ。同社のジョブ型雇用は22年から約5000人の全社員に対象を広げる。
専門会社の調査データを活用することで、報酬の透明性や客観性を担保できるとみる。国内企業でもジョブ型雇用が広がりつつあるが、各ポストの業務を明文化するだけにとどまる企業も多く、報酬水準をどのように設定するかは手探りの段階だ。
[日経電子版 2020年12月14日 掲載]