DX求人、コロナ下で急増 営業・働き方変革へ即戦力

転職市場で、企業内のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を担う人材の求人が急増している。新型コロナウイルス禍で企業が事業の進め方や社内体制を転換しているためだ。プログラムなどに詳しい人材だけでなく、オンライン営業の仕組み構築や経理のデジタル化などの経験者が引く手あまただ。

新興IT(情報技術)企業で電子商取引(EC)のマーケティング事業を担当していた30代男性はこのほど、不動産大手に転職した。新たな勤め先では不動産のデータを活用した新規事業の立案を担う。年収は上昇し、1千万円を超えた。

人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)によると、運営するサイトでDXに関連する業務の求人案件が7~9月は前年同期比3割増えた。求人案件全体に占める割合も1割まで上昇した。

コロナ禍でリモートワークやオンラインでの取引が急速に増えた。このため大手の商社や金融機関、メーカーなどで顧客とのやりとりや社内業務でDXを推進する即戦力の獲得が激しくなっているという。教育サービス企業からは学校にICT教育システム導入を提案できる人材、金融機関からはオンライン営業の設計を担う人材の求人がみられる。

コロナ前も企業のDXへの関心は高かった。ただ実際に関連人材を採用するのは、DX導入を支える側のITサービス会社やコンサル会社などが中心だった。コロナ禍後は一般企業が自社変革のため人材を抱えるケースが珍しくなくなった。

募集職種もシステム部門のほか、経理、人事などに及ぶ。ある食品大手は法務のデジタル化の担当者を年収700万円以上で募集中だ。ビズリーチでは年収1千万円以上のDX案件数がここ3年で2倍以上に増えた。

エン・ジャパンの求人サービス「エンゲージ」でも仕事にDXを含む案件が11月に4月の5倍に増えた。物流大手が情報システム会社の管理職経験者を採用するといった例がある。DX関連人材の年収は一般的なIT人材の平均年収より約2割高いという。

DX人材は今後ITスキルだけでなく、実務に対する一定の知識や経験が一段と求められそう。コロナは求人市場における人材の評価軸も変えつつある。

[日経電子版 2020年12月13日 掲載]

転職先がご決定された皆様へ
日経転職版を通じて転職が決まったことをご報告いただいた方に、お祝いをご用意しております。