「2021年転職スタートダッシュ」に成功するには~年末年始に考えたい3つのポイント

日経HR キャリア事業部コンサルティンググループ 中島秀雄、本杉裕樹

例年、年末年始は転職活動も小休止する人が多いようですが、年明けに良いスタートがきれるかどうかは年末年始の過ごし方にかかっているとも言っても過言ではありません。転職活動を本格化する前の下準備の期間として、ご自身に向き合う作業や情報収集にじっくりと取り組んでみてはいかがでしょうか。今回は、転職の成功に向けて特に重要な3点~キャリアの棚おろし、職務経歴書、業界・企業選び~を年末年始に考えて頂く際のヒントをご紹介します。

その前にまず、コロナ禍における最近の転職市場について説明します。転職希望者の方と日々カウンセリングする中で、コロナ以降、圧倒的に増えた質問が「安定した業界・企業はどこか」ということです。混とんとした現在、明確な答えは存在しないと思いつつ「『安定』は業界や企業に期待するものではなく、自身がニーズの高い経験やスキルを習得する事でつかめるものです」と答えるようにしています。

ニーズの高い経験やスキルとは、会社に対し何らかの利益貢献をしたか、具体的には「売り上げアップ、コスト削減、業務効率化などに携わったことがあるか」ということだと思います。営業部門では短期的な売り上げ貢献だけでなく、継続的な売上増を実現できたかがポイントです。ITや管理部門の場合、直接的に売り上げに寄与することが難しいため、コスト削減や業務効率化で貢献した実績があるとアピールしやすくなります。転職する業界により個別の業務知識は別途必要になりますが、上記の実績は普遍的なスキル・経験とされ、転職市場での価値は高いと言えるでしょう。役職に関係なく経営目線を持って業務に携わることでこういったスキルや経験を習得しやすくなります。

もう1点、求職者からの質問が集中しているのが「現在の転職市場の傾向」について。コロナ以降、有効求人倍率が落ち込んでいますが、なかでも「未経験でも応募可」の求人の減少幅が大きくなっています。中途採用において、育成に時間とコストがかかる人材の採用は控え、即戦力人材に絞る企業の動きを反映しています。ITなどの専門スキルや管理職経験がない人材の転職を巡る環境は総じて厳しくなっており、転職を成功させるには、キャリアの棚卸しやアピールしやすい職務経歴書を作成するといった事前の入念な準備がますます重要になっています。

転職活動の土台になるキャリアの棚卸し

ここからは年末年始に考えて頂きたい3つのポイントを順にご紹介します。第一にキャリアの棚卸しです。「これまで経験してきた業務」を客観的に洗い出す作業のことで、自身の将来のキャリアを描く上で非常に重要です。職務経歴書に箇条書きで今までの経歴を記載し、自身の強み、得意分野を全体的に把握するのがおすすめです。この際、必ずしも大きな成果などだけを振り返る作業ではなく、日々携わっている業務を振り返るようにしましょう。数値化出来る実績(売上◎%達成、◎%コスト削減など)をぜひ盛り込んでください。実績を数値化することが難しい場合は、課題に対してのアプローチや工夫した事をまとめるだけでも自身の強み・弱みを把握する事ができます。

【キャリアの棚卸しのメリット】

①どの経験がいかせ、どのスキルを次の会社で習得すべきか、客観的に認識できる
②希望する転職先が明確になり、転職先の選択肢が広がる
③実際に転職活動をする際の基礎・土台ができる

このようにしてまとめたものは、内容を他人に説明することで、客観的に整理しやすくなります。年末年始にご家族などと話しヒントをもらうのもよいでしょう。実際に企業に応募し選考に進んだ際には、棚卸しした内容を面接で説明することもあるため、他人にも分かりやすい内容にまとめておくことが肝要です。

〝強い″職務経歴書とは 

第二のポイントは職務経歴書です。

基本的な書き方はこちらを参考にして頂ければと思います。ここでは応用編として、いかにして書類選考を通過できる〝強い職務経歴書″に仕上げるかという点にフォーカスしていきます。ポイントは以下の3点です。

①最新の情報から書き出す

採用担当者は日々多くの職務経歴書を読み、書類選考をしています。最も重視されるのは「任せたい業務を即戦力でこなせる人か」という点です。その業務のブランクはないか、すぐに順応できそうか、という点をまずチェックされることを意識し、最新の情報から書き出すことをおすすめします。

②応募企業/職種ごとに職務経歴書を書き直す

書類選考を通過するのは、基本的には募集要項に記載する応募要件を多く満たしている人になります。応募要件は各社・各職種により異なるため、その求人に合わせた職務経歴書にカスタマイズしたほうがよいでしょう。応募要件をきちんと把握し、それを満たす内容が読みやすく、分かりやすく記載されていれば、読み手が興味をもって読んでくれる可能性が高くなります。

③ポイントを絞る

あれもこれも、と全ての経験を盛り込もうとしない事が大切です。経験社数が多い人や様々な職種を経験している人は、文量が多くなりがちですが、職務経歴書は多くても2枚以内にまとめましょう。それは要点を整理して分かりやすい文書に落とし込む能力をアピールすることにもつながります。また、自身の業務経験を職務経歴書だけで採用担当者に100%理解してもらうことは難しいのでこの点を割り切ったうえで「ポイントは箇条書きに」「詳細な説明はあえて記載しない」ほうが、読みやすい職務経歴書になるでしょう。

コロナ禍の業界・企業選びのポイントは

第三のポイントは業界・企業選びです。コロナ禍での業界・企業選びのポイントとしては以下の3点を挙げたいと思います。

①会社としてコロナ対策を柔軟に取り入れているか

「在宅勤務を実施しているか」「オンライン営業、オンライン面接が可能か」などの項目をチェックすることで、会社のスタンスがおおよそ確認できると思います。ややおおざっぱではありますが、これらに対応している企業は、ルールに縛られ硬直的になったり、前例踏襲主義が蔓延していたりする可能性は比較的低いと考えられます。一方、コロナ禍においても変化を拒み、従来のスタイルを貫き通すタイプの企業は、時代の変化に適応できるのか疑問を持ちますし、何より社員の生命や健康を第一に考え、大切にするという姿勢が希薄なように思います。

会社に対して好感を持ち、いきいきと働けるかは転職先選びの重要なポイントになります。会社のブランド力や報酬面、福利厚生に加え、コロナ対応の姿勢も鑑みて「自分が最も大切にしたいことが満たせる会社はどこか」を総合的に判断して頂きたいと思います。

②業界や企業の将来性に明るい展望が描けるか

どんなに自身の経験やキャリアにマッチしていてもその業界の市場が縮小し、存続が危ぶまれるような業界・会社への転職はおすすめできません。ある程度長く働けるイメージが持てる会社で、腰をすえてスキルアップ、キャリアアップすることを考えてほしいと思います。「どうしても転職したい」と望む業界が現在、(コロナの影響などで)非常に厳しい状況にある場合は、転職する時期を少しずらしてみると良いのではないでしょうか。例えば人気業界である旅行・航空業界などはコロナが収束すれば市場の回復が予想されます。転職はタイミングも非常に重要です。情報収集は常に続けつつ、自身にとってベストな時期に本腰を入れて活動をすることをおすすめします。

③今後の変化への対応策を講じているか

今後、様々な点で社会が変化していくことは間違いないので、時代の変化に対応できるか、変化に対応していく気概があるか、をポイントにしてほしいと思います。変化への対応としては、会社としてDXを推進しているか、女性の管理職比率が高いか、リモートワークを導入しているか、副業を容認しているか、外国籍社員の採用を積極的に行っているかなどが挙げられます。旧態依然とした体質の会社ではなく、時代にあった会社経営をしている企業に目を向けましょう。

最後に、2021年以降の中途採用動向についてです。コロナがいつ収束するか、企業の中途採用意欲がどう推移するかを予測することは非常に難しいですが、2020年同様、コロナに大きく影響されることは間違いなさそうです。不透明な状況が続くにしろ、成長中の企業や今後成長していく企業は中途採用を継続すると思われますし、景気や業界の動向を常にフォローしておくことが大切です。その上で、自分は今の会社に残るのか、それとも新たな環境でキャリアを築くのか、について、しっかりと考え抜いた上で現時点での結論を出しておきましょう。

そして、もし転職が自身のキャリアにとってプラスになると判断した場合は、年明け以降、早めに動き出しましょう。転職活動を短期間でスムーズに終えられる人は少数派です。良さそうな求人を見つけたとしても書類選考すら通らないことも多く、特にコロナ禍では最終面接で見送りになるケースが非常に増えています。経営幹部が先行き不透明感を意識し、シビアな決断を下しているからだと考えられます。転職活動は長期化することも少なくないですので、早めのスタートがおすすめです。普段よりじっくりとキャリアについて考えられるであろう年末年始、有効に活用して頂ければと思います。

[日経転職版]

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