時短進み労働時間1.7%減 生産性と両立カギ、19年度

ポストコロナの新しい働き方構築が課題だ(写真はサントリーHDのオンライン研修)
ポストコロナの新しい働き方構築が課題だ(写真はサントリーHDのオンライン研修)

日本経済新聞社がまとめた2020年の「スマートワーク経営調査」によると、管理職を除く正社員1人あたり年間総実労働時間は19年度に1.7%減となり、減少幅が前の年度の0.2%減から拡大した。足元では新型コロナウイルス禍でテレワークが浸透し、日本企業の積年の課題だった長時間労働の改善がさらに進む。時短と労働生産性の両立が課題となる。

調査は4回目で、上場企業と有力非上場企業計710社から有効回答を得た。19年度の正社員1人あたり年間総実労働時間は1968.4時間。18年度より34時間減となり、時短勤務が進んだ。

影響したのは労働基準法の改正だ。19年4月から大企業、20年4月から中小企業を対象に、年間の時間外労働を原則360時間以内(条件を満たせば720時間以内、月100時間未満)とする上限規制が適用され、各社が対応に動いた。20年度はコロナ禍でテレワークが普及し、労働時間はさらに減る見通しだ。

人的投資も加速している。社員の新たなスキル習得を支援する教育研修制度は55.9%が導入、前回調査から7ポイント伸びた。社員の目標設定を後押しする研修も半数近くが実施する。中高年社員が部署を変えて新たなキャリアを積む社内公募制度も導入企業が増えた。

また女性の活用では、社外取締役に女性を登用する企業の割合が初めて全体の5割を超えた。

調査は働き方改革を通じて組織のパフォーマンスを最大化させる企業の取り組みについて、人材活用力、イノベーション力、市場開拓力などから得点を算出し、格付けした。偏差値70以上の最上位にはサントリーホールディングスやトヨタ自動車など22社が入った。

スマートワーク経営調査は「人材活用力」「イノベーション力」「市場開拓力」の3分野で構成される。企業向けアンケート調査や消費者調査、公開データなどから18の評価指標を作成し、企業を評価した。

【アンケート調査の概要】
 企業向け調査は2020年5月、全国の上場企業および従業員100人以上の有力非上場企業を対象に実施した。有効回答は710社(うち上場企業666社)。なお、有力企業でもアンケートに回答を得られずランキング対象外となったり、回答項目の不足から得点が低く出たりするケースがある。
 また一部指標においてはインターネットモニター(一般消費者2万4495人、ビジネスパーソン2万4034人)および日本経済新聞社の編集委員等(104人)の各社評価も使用した。
【その他の使用データ】
 測定指標のうち、市場拡大の一部指標については、レコフM&Aデータベースを基に作成した。
【3分野と測定指標】
3分野のスコアを測定する指標は以下の通り。
 人材活用力=方針・計画と責任体制、テクノロジーの導入・活用、ダイバーシティの推進、多様で柔軟な働き方の実現、人材への投資、ワークライフバランス、エンゲージメント、人材の確保・定着と流動性の8指標。
 イノベーション力=方針・計画と責任体制、テクノロジーの導入・活用、新事業、新技術への投資、イノベーション推進体制、社外との連携の5指標。
 市場開拓力=方針・計画と責任体制、テクノロジーの導入・活用、ブランド力、市場浸透、市場拡大の5指標。
【総合評価のウエート付け】
 各分野の評価を人材活用力(50%)、イノベーション力(25%)、市場開拓力(25%)の割合で合算し、総合評価を作成した。
【総合評価・分野別評価の表記について】
 総合評価は各社の得点を偏差値化して作成した。★5個が偏差値70以上、★4.5個が65以上70未満、★4個が60以上65未満、★3.5個が55以上60未満、★3個が50以上55未満を表している。
 また、各社の分野別評価は偏差値70以上がS++、以下偏差値5刻みでS+、S、A++、A+、A、B++、B+、B、Cと表記している。
 評価に使用した各種指標の集計結果やスコアの詳細データは日経リサーチが提供する。詳細はHPを参照。
(日経リサーチ 編集企画部)

[日経電子版 2020年11月02日 掲載]

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