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転職希望者の8割強が副業に前向き、日経副業調査

スキルアップなど目的も多彩

日本経済新聞社と日経HRが共同で実施したアンケートでは、転職希望者の約85%が副業に取り組んでいたり関心を持っていたりと「副業に前向き」という結果になった。転職に関心がない層では7割弱で、転職に関心があるかどうかで副業への向き合い方に温度差があることが分かった。また、転職希望者は収入確保のほか、スキルアップやキャリアアップなど自身の人材価値を高める手段として副業を考える傾向が強いようだ。

アンケート調査は日本経済新聞社と日経HRが共同で1026日~30日にかけて実施、4279人の会社員から回答を得た。日経転職版では、このうち「転職活動中」「転職活動はしていないが1年以内に転職したい」「転職活動はしていないが数年以内に転職したい」と答えた層(1455人)を「転職希望者」と定義し、主に「転職に関心がない」層(2757)との回答を比較した。

「副業をしているか」を聞いたところ、転職希望者では「現在副業をしている」が12%、「探している」が8.6%、「関心がある」が64.9%に上り、85.5%が副業に前向きなことが分かった。「転職は考えていない」層では、「副業をしている」が10%、「探している」が2.5%、「関心がある」は56.1%だった。ただ、転職希望者のなかで「副業経験あり」は18.1%。副業への意欲は高いものの「勤務先の規定で認められていない」などの理由から、実際に副業を経験した人は少数派にとどまっている。

スキルアップなど自身の成長が目的の副業目立つ

副業の目的については(複数回答)、転職希望者においても回答者全体の傾向と同様、「収入確保のため」(71.9%)が最も多かったものの、「スキルアップや成長のため」(41.3%)、「自分の能力をいかすため」(40.5%)、「キャリアアップのため」(39.1%)、「新しいことに挑戦するため」(38.4%)「転職準備のため」(28.5%)など、ビジネスパーソンとしての価値や経験値を高めるべく、多彩な動機付けをして副業をとらえる人が多いようだ。「転職は考えていない」人では、「収入確保のため」が69.8%、「スキルアップや成長のため」が31.1%、「キャリアアップのため」は26.4%だった。

【自由回答】

・起業準備のため(転職活動中・副業を探している・40代)

・会社以外の収入を得るため(数年以内に転職したい・副業を探している・30代)

・生き方の幅を広げたい(数年以内に転職したい・副業に関心はある・40代)

・在宅勤務で時間が増えた(数年以内に転職したい・ 副業に関心がある・50代)

・定年後のキャリア形成のため(数年以内に転職したい・副業に関心がある・50代)

1週間あたりで副業に費やす時間としては「5時間未満」が転職希望者の35.6%、「5時間以上10時間未満」が22.3%と10時間未満が過半数を占めた。副業での収入(月平均)は「3万円未満」が最多で20.1%、「5万円未満」が15.5%となるなど、「月5万円未満」がおよそ6割を占めた。「副業で月平均どの程度の収入を得たいか」の質問では転職希望者の約7割が5万円以上を希望した。直近で副業をした時期については、今年4月以降が5割を超え、コロナ後に副業に乗り出したケースが多いことがうかがえる。

転職希望者の5割強が「副業を増やしたい」

今後の副業意向についての質問に対しては、転職希望者の「副業の割合を増やしていきたい」が52.6%、「今のペースで続けていきたい」が40.6%で、「減らしていきたい」は4.0%、「やめたい」は2.9%にとどまった。「転職は考えていない」層では、「今のペースで続けていきたい」が64.6%と現状維持派が多く、「増やしていきたい」は31.8%だった。

【日経HR キャリア事業部コンサルティンググループ 中島秀雄・本杉裕樹】

新型コロナウイルス感染拡大が多くのビジネスパーソンにとってキャリアや働き方について深く考えるきっかけになったこと、それに伴い転職への関心が高まった人が増えたことは、転職希望者のカウンセリングをする中で強く感じます。

大手企業でも雇用が継続される保証はないことが明確になり、どの会社でも通用する経験やスキルを得て、個人の力で生き抜く必要性があることに気づいた人が増えている印象です。在宅勤務に伴う移動時間の削減などで生まれた時間を自身の価値向上に使いたいと考えている人も多く「転職に向けた自分磨き」「時間の有効活用」という欲求を満たす手段として、副業に目が向いてきたのは間違いありません。

転職を見すえた副業としておすすめのスタイルは、現在の就業環境と比較的離れた案件を選び、副業を通して自身の価値観や見識を広げられるような経験をすることです。例えば大手企業に勤務している人はスタートアップ企業へ、日系企業の人は外資系企業のプロジェクトに参加してみると新たな発見があり、報酬だけではない有益なリターンが得やすいはずです。

企業側からの視点では、副業は転職時のミスマッチを避けるうえで「お試し」で働いてもらうことができる利点があります。企業・個人双方にメリットがあるため、積極的に取り入れる会社が増えていくでしょう。コロナを機に副業、在宅勤務、パラレルワーク、ワーケーションなど新しい働き方全般への関心が高まっており、転職希望者が副業にチャレンジする傾向は今後も続くと考えています。

(日経転職版・編集部 渡辺茂晃、宮下奈緒子)

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