オンライン面接成功の条件 話は短く、こまめに念押し

コロナ禍の影響で今春ごろから一躍、オンライン面接が転職活動の「主役」に躍り出た。企業と求職者双方の利点も多く、今後も定着するとみられている。短い時間のうちに画面越しに自らを上手にアピールするにはどうしたらいいか。リクルートキャリアのエージェント事業本部ハイキャリア統括部コンサルタントの岩山笑子さんに話を聞いた。

オンライン面接は今後も定着しそうな気配だ(写真はイメージ) =PIXTA
オンライン面接は今後も定着しそうな気配だ(写真はイメージ) =PIXTA

――現在、中途採用でオンライン面接の比率はどのくらいでしょうか。

「当社が6月に実施した企業向けアンケートでは、緊急事態宣言中にオンライン面接を実施した企業が約7割という結果が出ました。現在もウェブへのシフトは続いており、首都圏で転職エージェントを活用している企業(採用に積極的な企業)では、8~9割程度がオンライン面接を実施していると思います。最終選考までウェブで完結する企業も少なくありません。大手・外資のみならず、中小含め、全方位的にウェブ化が進んでいます。オンライン面接は採用活動の基本ツールになったと言え、コロナ前、ほとんどの企業で対面の面接が基本だったことを考えると隔世の感があります」

――アフターコロナ時代においても、面接のオンライン化は続きそうですか。

「オンライン面接で十分対応できることが既に多くの企業で実感されており、採用活動の最適化、効率化の手段として今後もこの流れが続くのではないでしょうか。オンラインのメリットとしてはまず、面接官役の社員を手配しやすい点が挙げられます。中でも、海外や地方在住者を含め、様々な地域、部署、世代の社員が登場できることの意義が大きく、『自社の魅力をより多角的に伝えたい』企業側と『いろいろな社員と話をしてみたい』求職者側、双方の利にかなっています。リモートで参加できるため面接日程の調整がしやすくなったり、それゆえに選考のリードタイムが短縮できたりといった効果も見込めます」

――オンラインとリアルの面接で採用基準が変わりますか。

「全く変わりません。オンラインになることで『対面の面接とは違う特別なスキルが必要ではないか』と考える人が多いようですが、手法がリアルからオンラインへと変わるだけで、企業が面接で知りたいことや採用基準は、何一つ変わりません。企業が知りたいのは、求職者の強みやこれまでの経験、経験に裏打ちされた知見やスキルです。転職理由、志望動機、強みと弱みなど面接で問われる基本的な質問に対し、ありきたりの回答にならないよう、自分なりの言葉でまとめておきましょう」

「採用基準は一切変わらないものの、気を付けてほしいのは、簡潔に話すことです。リモートだと通信状況によっては相手の反応がわかりづらく、ついつい長く話してしまいがち。企業からすると、深堀りした質問を投げかけたいのに、相手の話が長くなることで会話のキャッチボールがしづらいと感じてしまいます。『いったん、私からは以上です』などうまく区切りながら進めるとよいでしょう。通信環境が悪い時、カメラ画像がオフになった時、たとえ相手の反応が分かりづらくても、一文一文短く区切り、焦って話し過ぎることなく、簡潔に話すことに集中しましょう」

見た目の「上から目線」を避ける

――事前の準備は何が必要でしょうか。

「まず、可能な範囲で静かな環境を用意してください。家族がいる場合は、面接の時間だけは静かにしてもらうなど、できる範囲で協力を仰ぎましょう。第二に、マイク付きイヤホンとマイクを準備してください。パソコン、スマートフォンともデバイス本体にマイクを内蔵していますが、本体のマイクは周囲の生活音を拾ってハウリングが起きやすいので、マイク付きのイヤホンを準備しておくことをおすすめします。スマホの場合、固定できるスタンドを準備しカメラ角度を安定させることで、より面接に集中しやすくなります。第三に、面接で使う会議ツールの操作性を確認しましょう。面接の日時が決まったら、企業から面接で使用するウェブ会議ツールの指定があるので、面接当日までにマイクの音量テストなど、ツールが実際に使えるか試してみましょう」

――面接当日の注意事項は。

「インターネット環境を整えておくことは言うまでもありません。カメラの角度にも注意が必要です。パソコンのカメラは、顔に対して真正面を向いていますが、スマホはデスクに置くと、上からカメラをのぞき込んでいるように映ります。『上から目線』の印象を持たれる可能性もあるので、台の上に置くなどして、顔が真正面を向く位置にスマホを固定しておくとよいでしょう。面接中は対話相手の目を見て話せるよう、画面ではなくカメラを見るよう心がけてください」

「デバイスの画面越しだと、相手の反応が分かりづらいと感じることもあると思いますが、緊張して一方的に話し続けないよう気をつけましょう。やや大きめにうなずいたり、しっかりした声で相づちを打ったりすると好印象だと思います。オンラインでは表情が読み取りにくい場合があるので、しっかりと聞いている姿勢を示しましょう。対面での面接以上に、相手に聞き取りやすいように話す気遣いが重要になります。『~ということで合っていますでしょうか』という理解のための聞き返しや『ここまでで以上ですが、伝わりましたでしょうか』という相手への投げかけなど、聞き手への気遣いが面接にプラスに働くと思います。また、常に結論から先に話し、伝えたいことを明確に伝えるよう意識してください。話す内容を事前にしっかりとまとめ、相手に分かりやすい表現で、端的に話すことを心がけてください」

「ヘアメークは基本、通常と同じで構いませんが、画面が暗くなりやすい場合は、できるだけ髪をまとめ、顔周りが見えるようにすると表情が見えやすくなります。服装は、一部企業で『カジュアルな服装で』と指定されるケースもありますが、通常はスーツまたはトップスにジャケットといったスタイルを着用したほうが無難でしょう。カメラに映らない下半身を含め、きちんとした服装をしたほうが面接への気持ちも入りやすいと思います」

質問したい事柄は事前にリスト化

――通信の不具合が発生したらどう対応すべきでしょうか。

「音声や映像の不具合は遠慮せずに伝えましょう。場合によっては電話面接への切り替えが可能になるはずです。通信状態によって、相手の質問や話が聞き取れない時もありますが、落ち着いて『声が聞こえづらかったのでもう一度うかがってもよろしいですか』と聞き返しましょう。面接担当者からも『もう一度』と聞き返されるシーンもあるかもしれませんが、落ち着いて話してください」

――オンライン面接を経験した転職活動組と数多く接するなかで導き出した、成功する面接のヒントはありますか。

「お互いが何を話すか、聞きたいかが明確になっている面接はうまくいく確率が高い印象です。最初に双方が何を聞きたいか、何を知りたいかをすり合わせた上で面接に臨み、お互いの満足度が非常に高かったという例がありました。かなうかどうかは企業にもよりますが、オンライン面接だからこそ、話してみたい人を率直にリクエストしてみるのもおすすめです。例えば、(入社した場合)同僚となる現場の人を希望し、どのような情報を聞きたいかも事前に伝えておくと、最適な人と話す機会を設定してくれることもあります。企業側もオンラインだからこそ、丁寧に情報を伝えたいと思っており、気になったことを質問すると、従来以上に丁寧に教えてくれることが多いように感じます。そのためにも事前に聞きたいことは整理しておくとよいでしょう」

「企業側は面接を通じて自社で働くイメージを持ってほしい、と考えています。『最後に何か聞きたいことは』と聞かれたときは、実際に自分が働くことになったらどのような仕事をするのか、どのような人と一緒に働くのかなど、その会社で働くイメージの具体化につながるような質問をすると歓迎されると思います」

岩山笑子

リクルートキャリア エージェント事業本部 ハイキャリア統括部 コンサルタント 大手外資系サービス企業から2013年に中途入社でリクルートキャリアに入社。IT(情報技術)業界のキャリアアドバイザーとして約500人の転職サポートを行い、18年に現職場に異動。キャリアアドバイザー、クライアント双方にアプローチを行うコンサルタントを担当。

[NIKKEI STYLE 出世ナビ 2020年10月17日 掲載]

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