コロナで「未経験OK」求人減 人材市場、求ム即戦力

IT業種などは未経験OKの求人案件が減少した
IT業種などは未経験OKの求人案件が減少した

人材市場で「未経験OK」を掲げる求人案件が減少している。転職サイトでは未経験者歓迎の案件の比率が、新型コロナウイルスの感染拡大前の8割から直近は5割まで下がった。コロナ禍で景気の先行きが見通しにくくなり、企業は育成に時間がかかる人材の採用を控え、スキルを明確にしたジョブ型で働ける即戦力を求めつつある。

エン・ジャパンの転職サイト「エン転職」では、未経験者歓迎とする求人案件が4月以降、減少している。全体に占める割合が9月中旬で52.7%となり、前年同月比20.3ポイント減った。2月には80%まで上昇していた。

特に技術系職種の減少が目立っている。「電気、電子、機械」では8月は未経験歓迎の割合は29.9%と1月に比べ50.6ポイント減、「IT(情報技術)、web、ゲーム、通信」は16.9%と40.7ポイント減った。「経験者にシフトしている」(岡田康豊エン転職編集長)

パーソルキャリア(東京・千代田)の転職サイト「doda(デューダ)」でも未経験歓迎とする求人案件は5月以降、前年同月比3割減で推移している。テレワークに伴い現場が対面で仕事を教えられないなど「企業に育成する余裕がなくなっている」と喜多恭子doda編集長はみる。

コロナ禍で打撃が大きかった飲食や販売、サービスといった職種の就業者を中心に求職者は増えつつある。しかし未経験OKの案件の減少は、従来とは別の職種を探す人にとっては逆風だ。エン・ジャパンのサイト「エン派遣」でも未経験OKの案件が前年に比べ半減した。

一方、即戦力となる経験者の求人は活発だ。エン・ジャパンの35歳以上を対象とした転職サイト「ミドルの転職」の案件数は前年同月を上回る推移が続く。IT系や物流など新しい生活様式を支える職種で、リーダーとして現場を支えられる人材の需要が強い。

副業人材を紹介するパソナJOB HUB(東京・千代田)でも、経営支援ができる高スキル人材の稼働数が伸びている。企業はコロナ禍で採用人数を減らす一方、スピード感のある事業展開の必要性を強く感じ、専門性が高い人材を活用することに関心を高める。

転職や人材派遣の市場では、昨年までの景気拡大局面で未経験者を採用する動きが広がっていた。人手不足もあり、営業職など人数が売り上げにつながりやすい職種で顕著だった。コロナ禍で企業は業績が厳しくなり、人材育成などの先行投資にも慎重になっている。

未経験者の受け入れの減少は雇用情勢が厳しさを増していることを映す。求人の減少で求職者は「転職を思いとどまるようになり、雇用の流動化が進みにくくなる」(エン・ジャパンの岡田氏)との指摘がある。

(大槻陽子)

[日経電子版 2020年09月23日 掲載]

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