スカウトされる職務経歴書

転職の自己PR 経験豊富な人ほど「柔軟性」を意識~大手企業編

shokureki-scout_major001.jpg

「スカウトされる職務経歴書」連載第4回のテーマは、大手企業。最近ではデジタルトランスフォーメーション(DX)などを担う専門人材の不足から、大手企業の中途採用が増えている。大手への転職を考える人がスカウトされるには、どんな内容がいいのだろうか。転職希望者をサポートしてきたパソナ 人材紹介事業本部の宮永由佳さんに書き方のポイントを聞いた。

目次

――大手企業はどのような年代や職種で中途採用が盛んですか。

宮永さん

大手は20代から40代を中心に中途採用を行っています。40代はマネジメント業務など経験が豊富なため、即戦力として重宝されます。人手不足も影響し、20代、30代の若手を育成する前提で、ポテンシャル採用をするケースも少なくありません。30代前半はとくに転職希望者と企業の需給が一致し、転職市場が活発になっています。リーマン・ショック後の就職氷河期で希望した企業に就職できず、満を持して転職を検討する人が多い年代にあたりますが、企業側も同様で、リーマン・ショック後に採用を抑えた結果、いびつになってしまった組織の年齢構成を見直すべく、経験を積んできた30代の採用意欲が旺盛です」

「あらゆる業界・業種に共通して、システムやIT(情報技術)の知見を持っている人のニーズが高まっています。例えば人事でも、システム導入の経験があると強みになります。フレックスタイム制度やリモートワークのような"多様な働き方"を実現するにあたり、基幹システムの入れ替えが必要になっているからです」

資格一覧に核となる強みを明記

――大手企業に応募する職務経歴書で、最も重要なポイントは。

宮永さん

大手は何でもこなせるゼネラリストより、専門性が高い人を求める傾向にあります。そのため、職務要約や生かせる経験、資格一覧に、『マネジメント』『研修企画・運用』といった核となる強みを明記できていることがポイントです。転職サイトに掲載されているツールや資料を使いながら、今まで経験してきたキャリアの棚卸しに取り組んでください。そのうえで『御社なら経験がどのように生かせるか』を分かりやすく伝えましょう」

「大手は組織体制が成熟し社風もはっきりしているため、これまでの仕事の進め方や自分のポリシーに固執していると敬遠されてしまいます。40代など経験が豊富な人の場合は注意してください。『御社に合わせて柔軟に働けます』というアピールが職務経歴書でも求められます。『部署異動時も周囲に助けを求めながら、臨機応変に対応してきました』というように、柔軟性を見せるとよいでしょう」

「企業は職務経歴書から、募集中の業務・役職で活躍できるかを判断します。募集業務と応募者の強みの親和性が高ければ高いほどよい、ということです。そのために応募する側は、募集要件や求める人物像を読み込んで理解することも大事です。基本的なことですが募集要件に『マネジメント能力を求めています』と書いてあり、実際に経験があるならば必ず職務経歴書に書いてください。転職を成功させるためには、強みを数多く書けばいいというものではなく、企業が求める条件に合うものを中心に書きましょう」

shokureki-scout_major002.jpg
宮永由佳 パソナ 人材紹介事業本部 コンサルティング統括部
入社後から一貫して、業界横断で管理部門全般のキャリアアドバイザーとして従事。スカウト専任チームにも所属している。

――長さや数字を使った記述など、基本的な点もおろそかにできません。

宮永さん

長さは2~3枚でまとめるといいでしょう。大手企業は多数の応募が集まるので、1人の検討にかける時間が限られます。自己PRだけで1ページ書いてあると長すぎて目も通してもらえません。長くなってしまった場合、自分の思いや心がけたことではなく、『それに対して自分がどういう行動をしてきたか』という事実に基づいて書かれているか、読み直してください。資格一覧も、すべてではなくアピールすべきものだけを精査して書くとよいでしょう。長くなってしまったとしても、『見出しをつける』『箇条書きにする』といった工夫をすれば印象が変わります。読み手の読みやすさ、分かりやすさへの配慮を見せましょう

実績を裏付ける定量的な表現をしてください。人事であれば、『年間を通して採用計画から実行まで経験がある』と書くだけでは、規模が分からず不十分です。1、2名の採用なのか50人以上なのかで手法や過程も違うので、数字を入れて実務スキルを具体的にイメージできるようにしてください。営業であれば営業実績が記載されているか、リーダーであればマネジメントの人数が何人なのか、という部分です」

――大手企業への転職を目指すにあたり、注意すべき点はありますか。

宮永さん

「大手への転職理由として『業務の幅を広げたい』『関わる人や案件数を増やしたい』という点を挙げる人が多いと思いますが、とくに現職が大手の場合には、同じような規模・業務内容の企業に応募していると『社名や年収に引かれて受けているのでは』『残業を減らしたいだけではないか』と判断されがちです。『御社の求人票を見て、新たにこういうジャンルの仕事に取り組めると思った。だからこの業界のなかで御社を志望する』というように、転職理由と論理的に関連した志望動機を語ることが必要です

「中小企業やスタートアップの中途採用では、『この人はぜひ』と思う応募者がいればすぐ面接するといったように選考スピードが速いのですが、大手は募集期間や面接開始時期など、スケジュールを予め明確に定めていることが多いです。大手への転職を目指す場合、そのスケジュールと自分の転職希望時期が合うかについては、確認しなければなりません」

採用の観点は「協調性」、自己PRに工夫を

――中小企業やスタートアップ企業に勤めている場合、自己PRで強調すべき点は。

宮永さん

「現職が中小やスタートアップの場合はとくに『柔軟性』を見せることが大切です。会社の規模が変わっても周囲の力を借りながら柔軟に仕事を進めていけるのか、がポイントです。大手は組織マネジメントがしっかりしており、関わる人も多くいます。中小では自分でどんどん動かさなければなりませんが、大手では『何でも1人でできます』というアピールではなく、協調性をもって組織になじみながら働けることが採用の基準となります。周囲との調和を大事にし、多くの部署を巻き込んで調整していく力があることを自己PRに入れましょう」

「大手の採用見送り理由として多いのが、『スピード感があって魅力的だが、協調性が見えない』というものです。人柄を職務経歴書で見せるのは難しいことですが、自己PRを工夫することで可能になります。例えばコミュニケーション力の高さをアピールするには、関わってきた対象が誰なのかを明示するとよいでしょう。年代を問わず幅広く社内の人とやりとりをしていたのか、社外の人も含めた同じプロジェクト内のコミュニケーションなのかで、イメージする人物像が変わります。また、大手でも業務を外注することが増えましたが、『ベンダーを探し、引き継ぎ対応や運用の指針づくりを担当。その結果コスト削減につながりました』と業務改善能力をアピールする際に、『積極的に担当して』と強調すると主体性が強みとして読み取れます」

――転職サイトを効果的に使うには。

宮永さん

「転職サイトに、経験業界や現職社名のほか、自分の希望や志向を漏れなく入力することです。職務経歴書の目的は今までの経験から自分をプレゼンすることなので、あくまでキャリアに特化して書くべきもの。それに対し転職サイトはエージェントとの出会いの場なので、情報が多いほど希望が実現するエージェントとも出会いやすく、紹介される求人も変わってきます」

「『ワークライフバランスを重視したい』『海外駐在をしたい』など働き方の志向や希望条件は、職務経歴書に書くとこだわりの強さが見えて逆効果になりますが、転職サイトには登録してください。希望年収も、最低希望額から本音の額まで入れましょう。転職希望時期も、大手を志望する場合はとくに、転職活動の進め方のスピードに影響するので入力してほしいです。サイトには情報をあまり登録していなくても、いざ面談をしてみると詳細にイメージが固まっている人もいます。ぜひ最初から全部入力する気持ちで取り組んでください」

――スカウトされた後に準備すべきことは何ですか。

宮永さん

企業研究・業界研究をしっかりして面接に臨んでください。求人票と業務内容を読み込み、自分に求められている力を正しく把握してください。一例として経理や経営企画であれば、投資家向け広報(IR)を調べて頭に入れ、採用や人事であれば、年間でどれくらい採用を行っているかなどの規模をチェックし、業務内容を明確にイメージしましょう。また、志望動機については『転職理由を実現できるか』という観点から面接前に見直し、磨き上げてください」

大手企業にスカウトされる職務経歴書のポイント

  1. 1

    募集要件や求める人物像を読み込み、自分の強みや専門性をアピール。

  2. 2

    柔軟性が大切。自分のポリシーにこだわると敬遠される。

  3. 3

    自己PRを工夫して、大手企業で必要な協調性を見せる。

以下に「スカウトされる職務経歴書テンプレート」があります。

大手企業にスカウトされる職務経歴書テンプレート

職務経歴書

20**年 **月 **日
氏名:○○ ○○

■職務要約

大学卒業後、株式会社〇〇に入社し、〇〇企業向けの人材紹介営業を〇年経験した後、現職に入社し、人事採用を中心に人事制度企画・研修などの領域を、実務およびマネジメントの両面で約〇年間経験しております。
年間〇名の採用を実行し、約〇年前から課長職として、約〇名のマネジメントも従事。また、社内の業務改善プロジェクトメンバーとして、システム導入やコスト削減プロジェクトにも参加しております。

■職務経歴

□20**年*月~現在  株式会社〇〇
◆事業内容:通信機器の製造・販売
◆上場区分:非上場 従業員:**名 資本金:**百万円 雇用形態:正社員

期間 業務内容
20**年**月

現在

人事部人事課 課長 (部下*名)

採用ニーズ発生から入社後までの採用業務全般を担当。採用戦略立案から実行、目標達成に向けたメンバーマネジメント、社内外との調整や業務効率化施策に従事。

■採用・研修関連業務
・採用戦略立案、人員計画の作成
・関係部署への求人ニーズヒアリング
・人材紹介会社との折衝 ・ダイレクトリクルーティングの推進
・リファラル促進施策
・選考実施(書類選考、面接対応)
・入社後の社員フォロー面談、部門への改善提案
・大学就職課への訪問活動
・合同企業説明会参加、ブース運営
・研修企画・実施(新卒入社時研修、コミュニケーション向上研修、管理職研修他)

【採用実績(20** 年)】
・中途採用:** 名 目標達成率 **%
・派遣採用:** 名 目標達成率 **%
・新卒採用:** 名 目標達成率 **%

■人事制度関連業務
・職務遂行考課表の企画・立案
・目標管理制度導入ツール・マニュアル作成
・目標管理・新考課制度、全1職種シミュレーション実施・指導

■マネジメント業務
・メンバーマネジメント
・1on1 を通じたメンバーの業務管理/モチベーション管理

■業務改善・プロジェクト業務
・業務効率化推進(採用管理システムリプレイス、オペレーションルール/マニュアル整備)
・コスト削減プロジェクト(業務標準化により正社員からアルバイト/中途から新卒へのリプレイスを実施。一般管理費 ** %カットの達成)

□20**年*月~20**年*月  株式会社〇〇
◆事業内容:人材紹介・職業紹介
◆上場区分:非上場 従業員:**名 資本金:**百万円 雇用形態:正社員

期間 業務内容
20**年**月

20**年**月

営業担当 (部内営業約**名)

人材紹介の営業として IT 企業 ** 社を担当。既存顧客フォローを中心に顧客の求人ヒアリングから母集団形成、候補者の選考から入社までのフォローを実施。

【営業スタイル】
既存顧客 **% 新規顧客 **%

【商況実績】
・20** 年上期 売上高 **万円(予算達成率 **%)
・20** 年下期 売上高 **万円(予算達成率 **%)
・20** 年上期 売上高 **万円(予算達成率 **%)

【実績】
・20** 年第**半期の業績が **%のハイ達成、部長賞を受賞 (部内営業約** 名)

■活かせる経験・知識・技術

・新卒・中途採用(約**年): 企画、面接、入社後フォローまで一連を担当
・研修企画・運用(約**年): 新卒入社時研修、コミュニケーション向上研修、管理職研修 他
・人事制度関連(約**年): 目標管理制度導入・新考課制度、評価制度の企画立案、及び、社内浸透
・マネジメント(約**年): 課長職として約〇名のマネジメントを経験
・業務改善・各種プロジェクト参加: 選考スピードの改善、採用管理システム・雇用形態のリプレイス対応

■取得資格

20**年**月 国家資格キャリアコンサルタント 取得
20**年**月 TOEIC 750点

■自己PR

・業務効率化・システム導入経験
採用管理システムのリプレイスにあたりプロジェクトリーダーを担当。チームメンバーの管理から、社内の各部署との調整、ベンダーとの折衝・ソフトの選定まで一貫して行いました。システムの導入から移行、運営までのスケジュールを立て、チームを動かしながら、導入後の運用ルール策定なども実施。社内での初めての試みであったため、関係部署へ運用の説明会なども設けるなどし、結果として、スケジュール通りに移行をすることができました。

・チームメンバーとの関係構築力・リーダーシップ力
現職では、研修、採用の企画から実務対応と職域を広げ、実務を理解したうえでマネジメントや各領域の施策推進を担っております。少数精鋭のチームのため、部長以下、私を含めた各人の業務領域は多岐に渡り、課長であろうと自ら手を動かしながら組織運営も行っております。部下の中には人事経験の浅いメンバーもいるため、個人の強みを活かしたアサインや1on1の実施・日々のコミュニケーションで話しやすい関係を築くことに注力もしています。

・目標達成意欲の高さ
関係部署が抱える異なる採用課題をヒアリングし、具体的な改善案を提示・実行、現場へのフィードバックを繰り返し行うというPDCAをスピーディに回すことで、現場の課題に向き合い20**年度は**名規模だった採用人数を20**年度は**名まで拡大することに成功しました。そのほか、毎月の目標数字にコミットするため、エージェントとの連携を強化し、適宜選考会の実施や、面接確約施策等を実行。

以上

この職務経歴書の監修

パソナ/パソナキャリア

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

プロフィール情報を充実させて、
企業や人材会社からスカウトを受けましょう!

職務経歴・プロフィールを変更する

日経の確かな企業情報がある日経転職版を
使って転職活動をしませんか?

登録はこちら(無料)
 
前の記事
次の記事

ピックアップ

注目企業

転職成功アンケートご協力のお願い
日経転職版を通じて転職が決まった方に、アンケートのご協力をお願いいたします。