スカウトされる職務経歴書

「指示待ち人間」ではなく能動的に働けると示そう~若手人材編

仕事の経験や成果を記入する職務経歴書。職歴の浅い20代の若手人材は「書くことがない」と悩むことが多いかもしれない。短いキャリアの何をどうアピールし、求人企業の目にとまるようにすればよいか――。「スカウトされる職務経歴書」について専門家が解説する連載の第2回は若手人材がテーマ。自身の経験を生かし若手の転職を支援してきたエン エージェント マネージャーの川口和音さんに話を聞いた。

目次

手軽なアプリでの作成は禁物、成果を出すプロセスや創意工夫が必須

――スカウトしたくない職務経歴書はどんな内容ですか。

「第一に、分量が不適切なものです。長すぎると、簡潔に分かりやすく伝えられない人という印象になりますし、逆に社会人経験が5年あるのに1枚しかないと、重要な仕事を任されてこなかったのか、と思われてしまいます。最近はスマートフォンのアプリで手軽に職務経歴書を作成できますが、内容が薄くなりがちなので避けたほうが無難です。第二に、実績を羅列するのみで自分のアピールになっていない文章もよい経歴書とは言えません。『●●営業部で商品Aの営業を担当し、年間売り上げを達成した』だけでは、成果を出すためのプロセスや創意工夫が分からず、自分の強みが伝わりません。『職務経歴書は自分を売り込む最強の道具』という前提に沿って書くようにしましょう」

「企業や職種が求めることと、アピールポイントがずれている経歴書もよく見かけます。たとえば、コンサルタントの仕事を希望している人が、人に寄り添うことを強みとしてアピールしても相手には響きません。顧客の課題を解決したエピソードや、目標に向かってPDCA(計画・実行・評価・改善)を実行した経験のほうがふさわしいです。また、異業種・業界への転職の際は、現職での専門用語を多用すると逆効果になります。誰にとっても分かりやすい言葉で説明しましょう」

――大きな成果が少ない若手人材はどのような点を強調したらよいですか。

「意欲やポテンシャルが重視される新卒採用と異なり、20代後半になると、課題解決力や企画立案力といった一定のビジネススキルを身につけていることが求められます。リーダーのもとで補助的な仕事をしていた場合でも、『自分がサポート業務を担当したことでリーダーがどう動きやすくなったか、どう成果を出せるようになったか』のプロセスを上手に表現できれば、十分なアピール材料になります。管理職に応募するのでもない限り、リーダー経験の有無やチームをまとめる力はそれほど重視されません」

「『学習意欲や向上心があるかどうか』も重要です。たとえば、不動産売買仲介の仕事につきたいのであれば『宅地建物取引士(宅建)の資格取得に向けて勉強中』といったことです。資格そのものが武器になるというよりは、社会人として継続して学習する意欲や姿勢が評価のポイントになります」

業界・職種の関連キーワ―ドを使ってアピールを

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川口和音 エン エージェント キャリアパートナーグループ マネージャー
2016年エン・ジャパン入社。自身の転職経験を活かし、入社以来、20代~30代前半の若手人材の転職支援に関わる。2019年より現職。

――若手人材が自分の強みを職務経歴書で効果的に伝えるコツは何ですか。

「自分の強みを、業界や職種に関連するキーワ―ドを活用してアピールすると効果的です。『B to B(企業向けビジネス)』『マネジメント』『SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)』『新規事業』のように、関わってきた仕事をキーワードに落とし込み、組み合わせてみましょう。とりわけ今、関心を集める組み合わせとしては『デジタルトランスフォーメーション(DX)×新規事業』『業務効率化×B to B(企業向けビジネス)』などが挙げられます」

「企業側のニーズに合わせた自己PRをする、つまり自分が伝えたいことではなく、相手が知りたい点を伝えるという点も徹底してください。志望する業種や職種が決まっている場合、その業種・職種に必要なスキルを考え、そこに自分の能力や経験をひもづけて説明しましょう。一例として、現職が営業職で、異職種に応募するとします。事務職志望の場合、『パワーポイント』や『エクセル』の使用経験を書けばビジネスソフトの習熟度をアピールできます。マーケティング職への応募なら、『STP(Segmentation Targeting Positioning)』や『3C分析』といったマーケティング用語を用いて説明すると、未経験でもどの程度その職種のことを理解しているかが相手に伝わるでしょう」

「職種が決まっていない場合には、自分の経験や成果を誰が見ても分かるように伝えることが大事です。営業職なら『誰に/何を(新規なのか既存なのか)/どんなスタイルで(プル型なのかプッシュ型なのか)』提案していたかを説明すれば、どのような仕事ができる人物かを分かってもらいやすいと思います」

コロナ禍で企業が求める若手人材像に変化

――コロナ禍で、企業が求める若手人材像は変化しましたか。

「課題解決力がより重視されるようになっています。例えば、営業職は訪問営業から潜在顧客に電話などで営業する非対面型のインサイドセールスが主体になりました。これまでは、量をこなして成果を出す『足で稼ぐ』スタイルが評価されていましたが、今は『課題を解決する力』、つまり成果を出すプロセスに再現性があるかどうかが重視されています。課題解決というと難しく考えてしまいがちですが、後天的にきたえることができる力です。閉店してしまったお店を見て『なぜ閉店したのか、なぜお客さんが減ってしまったか』を考えるなど、身近な事から磨くことが可能です。日頃から疑問を持って考える癖をつければ、仕事においても言われたことに答えるだけではなく『相手は何に困っているか、何を解決したら喜ぶだろうか』と主体的に考えられるようになります」

「主体性も重要なポイントです。在宅勤務が広がったことで、以前のように中途採用人材をゼロから育成することが難しくなりました。そのぶん『職場が変わっても必要なことを考えて自ら動けるビジネスパーソン』が若手でも重宝されるようになっています。指示待ちではなく能動的に動けるか、がコロナ禍で一段と重要性を増した要素と言えるでしょう。直接的に仕事に関わることでなくてもいいので、普段から継続的に自分で考えて学習する習慣や意欲があることを簡潔に表現しましょう」

――「一度話してみたい」と思ってもらうための職務経歴書の書き方とは。

「1点目は、マイナス要素をなくすことです。例えば、誤字脱字、数字の全角・半角や文字フォントがバラバラになっているなど、基本中の基本ですが、こういった点で詰めの甘さが見えると採用検討の土台にすら乗りません。逆に、基本ポイントが押さえられていれば、仕事も丁寧に進められるだろうという印象を与えます。長さにも注意しましょう。若手の場合、2枚程度が適切で多くても3枚以内にまとめましょう」

「2点目は、実績を数字で具体的に記載したうえで、創意工夫を説明すること。『具体的に』がポイントです。設定された目標や予算に対しての達成率、社内順位や平均との比較を書き、目標達成の難易度を示して数字に客観性を持たせましょう。創意工夫を説明することも大事です。実績はあくまで結果なので、達成するために自分で考えて出した成果かどうか、プロセスを見せてください。ただ、具体的なエピソードを書くと長くなってしまうので、ポイントだけ書いて詳しくは面接で聞いてもらえるようにしましょう」

――スカウトを受けた後の自己PRで、採用につながりやすくするには。

「志望動機と転職理由に一貫性のあるアピールをすることが大切です。志望動機については、ありきたりな内容では意欲が伝わりません。自分の言葉で語り、印象に残る内容にしましょう。転職理由が志望動機と一貫しているかについては『現職は既存事業の発展を重視する体質で、新しいことにチャレンジしづらい。御社ならば新規事業の立ち上げに参画できる』というように筋が通っていると、説得力が増します」

「ウェブサイトで企業研究を重ね、面接に備えてください。ライバル企業はどこなのか、ほかの企業と比べた特徴は何かを確認し、自分なりに応募する企業の事業について考えを持ちましょう。書類選考を通過しても、企業のことを調べていないと、面接で意欲や熱意を感じられないという評価になり、不採用となるケースが意外と多いです。結論から分かりやすく話をするなど、論理性を感じさせる基本的な面接スキルも大切です」

――職務経歴書以外に、転職サイトに登録する情報で工夫すべき点は。

「今後の目標を書いておくことです。『5年後にはこういったスキルを身につけ、10年後にはこの分野で活躍していたい』といったキャリアプランを示すと、スカウトする側は人物像がイメージでき、入社後に活躍する姿を描けます。若手でここまで書けている人はあまりいないので、記載しているだけでもプラスの評価になると思います」

若手人材がスカウトされる職務経歴書のポイント

  1. 1

    自分の強みを「業界・職種関連のキーワ―ド」を組み合わせてアピール。

  2. 2

    主体性や成長意欲、課題解決力を見せる。

  3. 3

    基本を徹底し、成果を生み出す創意工夫を具体的に説明。

若手人材がスカウトされる職務経歴書テンプレート

職務経歴書

2021年7月1日現在
氏名 日経 太郎

■職務要約

大学卒業後、株式会社 NIKKEIシステムにて、顧客の課題解決を追求し、長期的な信頼関係を構築することで、「拡販」および「紹介による新規受注」を得る営業スタイルで成果をあげてきました。また、現在はチームリーダーとして、部下育成にも注力、チーム全体でも高い成果を残しております。

■職務経歴

株式会社 NIKKEIシステム(2017年4月~現在)
事業内容:ソフトウェア受託開発
資本金:○○万円 売上高:○○万円(20XX年X月期) 従業員数:○○名

期間 業務内容
2017年4月

2019年9月

大阪本社 ソリューション営業部

中小企業向けERPシステムの導入コンサルティング

●営業スタイル:既存顧客○%、新規開拓○%

●取扱商品:人事系ERPシステムの提案・導入コンサルティング

●担当顧客:電子部品メーカー、専門商社など 15社

●実績:
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○◯%(◯位/○名中 営業平均達成率◯%)
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○○%(◯位/○名中 営業平均達成率◯%)
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○○%(◯位/○名中 営業平均達成率◯%)

●セールスポイント:
新規商品のため、市場開拓が最優先課題でした。そのため、既存顧客のフォローを強化。
その結果、紹介を中心に新規開拓が進み、継続して予算を達成することができました。加えて2017年度においては、主要顧客である電子部品メーカーの顧客内シェアを、対前年比10%アップに成功しました。

2019年10月

現在

東京支社 ソリューション営業部 リーダー

東京支社にチームリーダーとして異動(部下 営業3名、営業アシスタント1名)。
予算設定、実績管理、行動目標設定、進捗管理、自部門の中途採用も行う。

●営業スタイル:既存顧客○%、新規開拓○%

●取扱商品:人事系ERPシステムの提案・導入コンサルティング

●担当顧客:電子部品メーカー、専門商社など 常時20社

●実績:
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○○%
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○○%
20XX年度 目標○○万円/実績○○万円/達成率 ○○%

●セールスポイント:
大阪における既存顧客の紹介などもあり、初年度から目標予算を達成。
入社3年目には年間売上目標○○億円に対して、××億円の実績で達成率は△△%。顧客数で前年比40%アップを果たしました。この結果が認められ、社長賞を受賞しています。

■活かせる経験・知識・技術

●顧客との信頼関係構築力
情報提供や顧客状況の把握を徹底し行い顧客との関係構築を行いました。必要に応じて趣味の話や雑談等を取り入れることで、新規の顧客とも早い段階で信頼関係を築く事ができました。その結果、普段の会話から収集した情報を基に、課題解決に向けた提案を競合他社よりも早い段階で行う事で、新規獲得の数・短期間獲得の面で結果を出す事ができました。

●企画・実行力
景気の影響を受け設備投資を自粛する企業が増えていた時期に、会社全体で売上が伸び悩みました。そういった状況の中で顧客の○○○という課題を見つけ○○を企画しました。社内初の取組みという事もありマニュアルの無い状況でのスタートでしたが、企画、情報収集、提案資料等自分で行い、上司への相談の元で企画を進め、成功させる事が出来ました。この取り組みについては、会社のプレスリリースでも取り上げられ、成功事例を共有した事で、他の営業が提案に活用し成果を上げることに貢献しました。

●メンバーの育成
チームリーダーとして、メンバーの営業成績を伸ばすことに注力しました。自身が培ってきた営業としての姿勢や取り組みを、朝礼・ミーティングの場で共有。加えて、ロールプレイング形式で、実践の場で使えるよう指導しました。また、営業同行を通じて、成功体験を積んでもらうことで早期の戦力化を実現し、チーム全体での目標達成を果たしています。

■資格・スキル

Word(文書作成、表の挿入)
Excel(表計算、グラフ作成、ピボットテーブル、関数計算(IF、VLOOKUP等))
PowerPoint(スライド作成、企画書作成、アニメーション)
普通自動車運転免許(2015年3月)

■自己PR

私が営業を行う上で大切にしていることは『顧客を感動させること』です。そのためにはまず、顧客の課題を徹底的にヒアリングし、ニーズを深く把握することが不可欠だと考えています。その上で、課題の解決に向けて自社が持つ製品・サービスを組み合わせ、提案を行うことで顧客からの信頼を得てきました。もちろん、導入後の定着まで徹底したアフターフォローを実施しています。
また、こうした考え方や行動を言語化し、メンバーに伝えることで、育成面でも実績を残してきました。今後はより専門性の高い知識が必要とされますが、これまでの経験で得た、「ヒアリング力」「信頼関係構築力」を活かし、貴社に貢献したいと考えています。

以上

この職務経歴書の監修

エン・ジャパン

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

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