スカウトされる職務経歴書

経歴書は最初のプレゼンの場、内容次第で〝足切り"の憂き目に~外資系企業編

shokureki-scout_foreign-capital001.jpg

転職を考える人がまず直面するハードルの一つが職務経歴書。これまでのキャリアを書き連ねるだけではなく、自身の強みや専門性について効果的に伝える必要があり、転職活動の成否を左右する重要な存在だ。転職サイトへの登録でも、詳細な情報を入力した場合と最低限の情報ではスカウトされる可能性が大きく変わる。この連載では「スカウトされる職務経歴書」の書き方をいくつかのパターンごとに解説する。初回は、外資系企業に「スカウトされる職務経歴書」について、JACリクルートメント執行役員の遠藤亮介さんに話を聞いた。

目次

――外資系企業に応募する上で、理解しておきたい求人企業側のニーズは何ですか。

「まず、外資系企業の中途採用というのは『未来への投資』という位置づけが非常に強いことをふまえておきましょう。求人票に書かれた職務内容はあくまで最低限。それ以上のことができなければ外資で働き続けることは難しく、内定につなげるためには組織に良い変革をもたらすためのプラスアルファが必須です。キーワードは『new』と『different』。『新しい人材』『(既存社員とは)異なる人材』を採用し、その人たちの知見や経験をいかし、組織が良い方向に変わることができるか、という視点で候補者をみています。また、俊敏さ(アジリティ)も不可欠です。一般的に、外資系企業の日本法人は本国とひんぱんに交渉し、かなり難易度の高い仕事を頼まれることもあります。できることは迅速に対応する、できないものはすぐ断る、といった俊敏さがないとどの仕事も中途半端になりかねません。」

「コロナ禍で経営戦略の見直しを余儀なくされる企業が増えており、IT企業に勤務していた人がデジタルの知見をいかし消費者向け企業でオンライン化を進めるなど、これまでの会社にいなかった存在、つまり『different』の要素を求める傾向が強くなっています。不透明な時代に先を見越して行動を起こせる突破力やレジリエンス(柔軟さ)、『周りを巻き込みコラボレーションする能力』もコロナ以降、一段と期待されるようになりました。外資ではハイパフォーマーが活躍する印象があるかもしれませんが『一匹狼では成果が生み出せない』というのが常識で、部署や職種の垣根を超えたコラボレーションが重要視されています」

中身のないダラダラした文章は致命的

――外資系企業への転職でCV(英文の職務経歴書)の位置づけは。

「CVは求職者にとって最初のプレゼンテーションの場で、提出した段階から選考プロセスが始まっていると考えたほうがよいでしょう。及第点に達しないCVは『足切り』されてしまい、面接にたどりつくこともできません。外資系企業の求人には応募が多数集まる傾向にあり、採用担当者は膨大な量のCVに直面するため、いかにして見てもらえるようにするか、目にとまるようにするか、が大事です」

「分量はできればA4で2枚以内、多い場合でも3枚に抑えましょう。経歴をアピールしようと、とにかく量を多く書こうとする人が目立ちますが、ダラダラとした文章を書いていると『要点をまとめる力がない』と思われ、ビジネスパーソンとしては致命的です。外資系の採用担当者は印刷せずパソコン上で見ることが多いので、長い文章は何度もスクロールしないといけず、敬遠されてしまいます。パソコンの文字フォントも『相手が見やすいように』という観点で選ぶ必要があり、ArialやCalibriがおすすめです。文章の体裁についてはI(私)で始めると文章が長くなりがちなので、代わりに『(動作を表す)動作動詞』の過去形、たとえば、Improved、Implemented、Executed、Took initiativeなどで始め、箇条書きで書くとよいでしょう」

shokureki-scout_foreign-capital002.jpeg
遠藤亮介さん JACリクルートメント 執行役員 人事最高責任者(CHRO)
外資系人材紹介会社を経て、独系製薬会社で採用・育成に従事。消費財メーカーなど大手外資系企業のHR責任者を歴任。2019年より現職。

――CVでの成果の書き方について、動詞や副詞の使い方も含め、教えてください。

「鉄則は動作動詞を使うこと。つまり、何を実行し、どんな具体的成果を出したかを明確にする必要があります。その上で、その行動で何を生み出せたかを明示し、特に数字を使った成果を可能な限り盛り込みたいところです。困難な状況で『何を考え何を行動したか』についての記述は、未来でも同じように行動できる、つまり再現性がある、と思わせられるような表現で書きましょう。自身の成果だけではなく、会社や組織にどんな恩恵を生み出したか、といった視点も大事です」

「副詞については、文章が長くなってしまうため、必要最小限の使用がおすすめです。主観的な表現(very, quiteなど)は使用せず、成果を生み出した行動を強調したいときにsuccessfullyやeffectivelyといった表現を使う程度にとどめましょう。文章が長くないか不安な場合や迷う場合は『副詞は使用しない』という意識でちょうど良いと思います」

CVの「成果」欄におすすめの表現

〈動詞〉※過去形で使うことが多いので過去形にしています。

Accelerated, Accomplished, Completed, Conducted, Contributed, Delivered, Enhanced, Extended, Generated, Headed, Improved, Maximized, Negotiated, Operated, Performed, Promoted, Reorganized, Restructured, Secured, Standardized, Strengthened, Suggested, Supervised, Targeted, Transformed, Upgraded, Utilized

〈副詞〉

actively, accurately, additionally, annually, consequently, consistently, directly, effectively, efficiently, equally, especially, extensively, extremely, frequently, fully, highly, immediately, particularly, specifically, smoothly, successfully, thoroughly, together

――「キャリアのハイライト」にはどのような体験を書けばよいでしょうか。

「ハイライトは必ず入れないといけないわけではないですが、応募するポジションの求人票と照らし合わせ、過去の経験や成果から未来につながりそうなものをハイライトで分かりやすくまとめることができると効果的です。1)CV全体の分量が長くならないこと、2)求人票で求められていることと合致すること、3」求職者自身の行動によって成果(数字含め)が明確であること、がポイントとなります」

【例】

・Organization Optimization:組織の最適化

Reviewed and analyzed organizational productivity and reduced total personnel costs by 8% and improved efficiency and productivity and generated 12% profit within a year

組織の業務効率を分析したうえで人件費総額を対前年比8%削減し、生産性の向上と12%の増益につなげた

・Revenue Generation:売り上げ拡大

Recoded 15.1% increase in revenue of hearing aids in FY2020 from the same FY2019

2020年度の補聴器の売り上げを2019年度から15.1%伸ばした

・New Product Launch:新製品開発

Successfully launched the latest product family with the newly developed strategy and strong execution.

新製品群を成功裏に立ち上げ、新たに策定した戦略を着実に実行した

――CVはこれまでのキャリアについて書くものですが、「未来」への記載も重要だそうですね。

「経歴書なので当然のことながら、内容の大半は過去のことになりますが、見る側(採用担当者)の視点で考えると、最も知りたいのは、既に終わった事柄よりも『未来をどうするのか』、つまりwillで始まる部分ということになります。求人票を読み込むと、その会社の課題や方向性、募集中のポジションに期待することなどが垣間見えるはず。さらに情報収集を重ね、たとえば『1~2年後、御社において私のこういった経験をこのようにいかせると思います』というように、環境が変わっても過去の成功体験を再現できることを、説得力ある表現で説明すると良いでしょう。過去と未来がつながっているという一貫性が問われています。これまで在籍した企業の社内での表彰などは未来の成果につながりづらく、あまり評価対象にはなりません」

経歴書の英語はシンプルに分かりやすく、完璧である必要なし

――CV上の英語力はどの程度求められますか。

「やはり『見る側の視点に立って』ということにつきますが、シンプルに分かりやすく、を目指してください。スペルミスは避けるべきですが、パーフェクトな英語である必要はなく、相手に伝われば十分だと思います。専門用語を使って必要以上に難しくしたり、特定の業界のみで使われているような言葉を使ったりすると『相手への配慮がない』とみなされ、マイナス評価につながります。入社後に必要な英語力は会社やポジションにより開きがあります。いずれの場合も流ちょうである必要はないものの、日常業務で使いこなせないと厳しいとは思います」

「『ビジネス英語力』の習得については『慣れるしかない』です。まずは、リスニング力の向上に努めましょう。耳が慣れれば話す近道になります。ビジネス英語では聞き取れれば、何とか成立することが多いです。外資系やグローバルのビジネスシーンでは英語がネイティブでない人が圧倒的に多いため、完璧な英語を話す必要はなく、きちんと伝わることが大切です。また、英語はリスニングとリーディングが基礎で、この2つに徹底的に慣れると、スピーキングとライティングは後からついてきます。最後に、特に重要なことは、気負わないこと、変に劣等感を持たないこと。『意思疎通が取れていれば(多少英語力が劣っていても)気にする人はいない』と思いましょう。自身の意思(will)と強み(can)が、言語を問わず明確になっていれば問題ありません」

――TOEICなどの資格はアピール材料になりますか。

「日本の履歴書では資格を多数記載する傾向がありますが、英語のCVでは行動と成果がポイントで、資格は補助程度の位置づけととらえておきましょう。求人票の『Requirements』や『Skills』の項目に合致する資格があれば記載するといった程度の認識でよいかと思います。合致しない資格を羅列すると、CVに一貫性が薄れ、何をしたい人物か見えなくなり、逆効果になる可能性すらあります」

「英語に関して言えば、TOEICは日本人以外の面接官には何のことか分からない、もしくは 通用しないと思ったほうが無難です。応募するポジションの求人票に『TOEIC◎点以上』と書かれている場合のみ、その点数以上であれば書く、といった対応でよいと思います。忘れてはならないのは、資格の有無が大事なのではなく、実務で使えるスキルかどうか、ということです。外資系に応募する場合、英語力は面接時に確認されることがほとんどなので『資格欄は気にしない』程度のマインドセットが必要ではないでしょうか」

外資系にスカウトされる職務経歴書のポイント

  1. 1

    相手目線で見やすく、分かりやすく。分量やフォントにも注意。

  2. 2

    「動作動詞」が鉄則、副詞は最小限に。

  3. 3

    過去は参考程度、未来での再現性を説得力ある文章で。

外資系にスカウトされる!職務経歴書テンプレート

Taro Yamada

PROFESSIONAL EXPERIENCE

  • 8 years of experience in building strategies and executions through New Business Development and Marketing
  • 9 years of experience in taking successful lead of high performing teams (max.18 people)
  • Excellent communication skills, both in English and Japanese for building effective relationships with internal and external stakeholders
  • Having data driven and logical thinking with a challenge taking mindset

HIGLIGHTED CAREER ACHIEVEMENTS

  • New business model creation - Produced business plan for a new business model from scratch and achieved alignment with Global HQ
  • Revenue Generation - recorded 15.1% increase in revenue of hearing aids in FY2020 from the same FY2019
  • New Product Launch - successfully launched the latest product family with the newly developed strategy and strong execution. Overall ASP was increased by 8.1%.
  • Traffic Generation - Almost 200% increase on corporate website traffic through 4 years. (Nov 2010: less than 1 million page views / month, Nov 2014: 4,945,970 page views, 922,906 Visitors)

WORK EXPERIENCE:

1/2016- Present ABC Sales Company Co., Ltd.Tokyo, Japan

Sales and Marketing Senior Manager

  • Leveraged the agile and matrix organization in marketing: Product Management, Marketing Communication (max. 18 people)
  • Took the lead and executed all sales and marketing strategies for a New Product Launch which resulted in 8.1% ASP increase
  • Determined and executed local product strategies, including targeting, positioning, pricing, setting up KSPs, product campaigns, etc.
  • Trained sales forces and local distributors by creating local training materials and holding regular training sessions
  • Responsible for budget creation, forecasting and OXEX management. - Report to HQ and GM in Japan

8/2010-12/2016 ABC Marketing Co., Ltd.Tokyo, Japan

Marketing Manager

  • Took all leads of implementing and executing sales and marketing strategies for Small Components business, which lead to 140% achievement, accounting for approximately JP Yen 1.4 million in sales turnover.
  • Ensured fair and consistent evaluation of each team member, with 0.5 turnover for over 5 years
  • Successfully achieved exclusive contracts with over 40 new customers through aggressive sales techniques and strategic marketing activities
  • Built and lead marketing team with 10 professionals with total marketing budget of 1.0 billion JPY a year

1/2006-7/2010 ABC Corporation Co., Ltd.Tokyo, Japan

Sales and Marketing Specialist

  • Effectively leverage the agile and matrix organization within and outside the country to provide corporate marketing services, digital campaigns, including the actual development of the marketing team
  • Took successful lead in designing new market research and conducting it in Korea, China and Japan
  • Ranked as No.1 Sales two years in a row (1999, 2000) out of total 14 sales managers

EDUCATION:

  • University of Oxford, MBA degree, UK (Nov 2014 - Oct 2015)
  • Tokyo University, Masters in Business Administration (2005)
  • Tokyo University, B.A. Marketing with a major in Advertising (2004)

QUALIFICATIONS:

  • Advanced English level, TOEIC score 925 (2014).
  • USCPA (May 2012)

ADDITIONAL INFORMATION:

  • Computer skills: MS Word, Excel (advanced), PowerPoint, Oracle
  • Interests: traveling, cycling, surfing

この職務経歴書の監修

JACリクルートメント

(日経転職版・編集部 宮下奈緒子)

プロフィール情報を充実させて、
企業や人材会社からスカウトを受けましょう!

職務経歴・プロフィール変更へ

日経の確かな企業情報がある日経転職版を
使って転職活動をしませんか?

登録はこちら(無料)
 
次の記事

ピックアップ

注目企業

転職成功アンケートご協力のお願い
日経転職版を通じて転職が決まった方に、アンケートのご協力をお願いいたします。