面接先が他県にあるために、面接や説明会などになかなか参加できません。年休を使ってスケジュールを調整するのにも限界があります。思い切って会社を辞めて、短期間で転職活動を行うことも考えられますが、一度退社した人間は給与交渉のケースでは圧倒的に不利になるという話もあり、退社に踏み切れないでいます(27歳・男性)
会社を辞めることが一番。ただし、退職前にできる限り準備を進めておき、離職期間を最小限にしよう
在職中の方にとって転職時の悩みの1つは面接日程の調整です。面接時間が通常の勤務時間と重なってしまったり、面接回数が多すぎて休みがとれなかったりと、悩みは尽きません。地方に住んでいる場合や、現住所から遠方の会社に応募される場合は、転職活動がより困難になります。一般的には有給休暇を使って活動をしますが、それも限界であるならば「会社を辞める」のが一番だと思います。
本来、転職活動をする場合、現職で仕事を続けながらの活動を推奨しています。理由の1つは、ご指摘通り給与交渉で不利になる点が挙げられます。現職中であれば現在の給与水準を提示し、それ以下であれば転職しないと強く主張できます。先方もその点を理解した上で諸条件を提示してくるはずです。しかし離職中であると、先方は強気で交渉することができます。
もう一点重要なポイントは、離職してからの転職活動は精神的につらいという点が挙げられます。転職活動は精神的にも非常に負荷がかかる作業です。いくつもの企業に書類を提出し、何度も面接に足を運び、最後の段階で不採用になるケースもあります。何度も面接で落とされていると、自分自身の人格まで否定されているのではないかと思い込んでしまうケースもあるでしょう。
そんなとき、現職中であれば転職活動を一旦中止することもできますし、何よりも現職が「保険」になります。つらい転職活動を早く終わらせようと、自分の理想とはかけ離れた仕事内容や待遇に妥協し、入社を決めてしまうような例もあります。このような不本意な転職を回避するためにも、在職しながらの転職活動を推奨しています。
しかしながら、ご相談いただいた現在の状況を見ると、現職に留まりながらの転職活動は非常に困難だと思われます。ただ、今すぐ何の準備もなく離職するのは危険です。会社に退職願を提出する前に、できる限りの準備をしておきましょう。
例えば、転職したい企業のターゲットや職種は絞れているでしょうか。その業界の研究や、職種に必要な知識をお持ちでしょうか。また、そのような企業での募集案件がどのくらいあるのかを把握しているでしょうか。このような細かい情報をできる限り蓄えておく必要があります。
転職者の多くが、転職活動の初期段階において転職先について考えなどが定まっていないことがあります。いろいろな会社を受けながら、転職先のイメージを明確にしていくというのも手法としては間違っていないのですが、離職をされるのであれば、在職中にその辺りを明確にしておきましょう。
会社を辞めるときには、書類選考までは進めておき、あとは面接に挑むだけというように準備しておけば、離職期間を短くすることができます。できれば現職の有給休暇を消化している間に面接を受け、離職期間がない状況で転職することがベストです。
最後にちょっとしたアドバイスです。転職者の中には離職後にのんびりと休暇をとられる方がいらっしゃいます。今まで一生懸命に働いてきたのだから、ちょっとゆっくり休んで旅行にでも行くという方です。リフレッシュして転職活動に専念したいとのことですが、このような行動が転職活動を長期化させてしまいます。もし休暇をとりたいのであれば、次の仕事の内定をとった後に、ゆっくり休んだほうがいいでしょう。