再選考のアプローチについてお伺いします。先日、ある企業の面接を受けました。私としては良い感触だったのですが、結果は不採用となりました。理由は「ご希望の年収および職務における経験の点で、弊社条件と整合せず……」とあり、面接を振り返ると思い当たることがありました。
希望年収を聞かれた際、前職の年収から50万ほど低い金額を伝えました。これは正直な金額でしたが、採用していただけるのなら、もう少し(さらに50万ほど)低くても構わないと思っています。それほど携わりたい職務でした。
このまま身を引くのは納得がいかないので、再検討・再選考のお願いを考えています。年収について再度アピールでき、先方に失礼にならないアプローチの仕方を教えていただけますか。また、そもそも再検討をお願いすることは、採用担当者はどのように感じるのでしょうか(29歳・女性)
数年後、その年収額で満足できますか? 自分の中の“転職熱”に流されず、再度冷静な判断を
転職活動をすると、年収の折り合いがつかずに不採用になるということはよくあります。また、企業から提示された年収が低いために、内定を辞退する転職希望者も大勢います。転職に際しての「お金」にまつわる話は、企業と転職希望者の双方が慎重になる必要があります。企業としては採用する人材のスキルやそれに伴う報酬は、合否の判断材料の1つとして重要視しています。転職希望者も年収は生活に直結しますので、転職の際には慎重になりがちです。
今回、不採用になってしまった理由が年収面だけであるのならば、再度先方に打診すること自体は問題なく、再検討をお願いすることは失礼ではありません。電話やメール、嘆願書でご自身の正直な気持ちを伝えれば、先方から返答をいただけるでしょう。
しかし、今回の不採用の理由にはもう1つ「職務における経験の点」が挙げられています。それをどのようにとらえるかがポイントです。もし年収と経験のバランスを考慮した上での不採用であれば、年収を下げることによって採用の可能性が広がります。しかし、今回応募した職務に対して経験不足と判断されてしまっているのならば、現時点では採用してもらうのは難しいかもしれません。企業としては「もう少し高いスキルや経験を持った人を採用したい」と考えているからです。
また、今回のケースに当てはまるか分かりませんが、企業によっては大幅な年収ダウンを好まないこともあります。例えば、現年収600万円の転職希望者がいたとします。希望者が面接などで企業に対して「どうしてもこの会社で仕事がしたいので、年収を100万円下げて500万円でも構いません」と伝えたとします。仮にスキル面や年収面で折り合いがついたとしても、企業が採用を見送るケースがあります。理由は転職者のモチベーションが低下するリスクを考えるからです。
一般的に転職をする際には、今の会社に対する不満や転職先企業の魅力などの複合的な理由で決断します。転職をする時点では、年収に対しての強いこだわりはないかもしれません。しかし、長期間働き続けると、年収を100万円下げてでも携わりたい仕事であると感じ続けることができるとは限らないのです。多くのケースで、それがモチベーションの低下につながってしまいます。
転職者の中には、年収に全く執着がない人がいます。大きな夢を持っている人や何か特別なスキルを身につけたい人など、お金以外の価値観で転職先を探している人です。しかし、それはほんの一部で、大半の人にとってお金は重要なファクターです。転職活動時に「年収は重要ではない」と思ったとしても、もう一度冷静に考えてみてください。1年後、3年後、10年後にその年収金額で満足できますか? 自分の中の“転職熱”に流されないよう、冷静な判断をしてください。