経理職として今の会社に入社しましたが、来月から営業部門に異動が決まりました。転職を考えているのですが…(25歳・女性)
スペシャリストとゼネラリストのどちらを目指すのか自問し、自分のキャリア形成を。
私は、大学院在学中にキャリアコンサルタントという仕事に出合い、それ以降、キャリアコンサルタントとして仕事を続けています。もし、今いる会社で他部署への人事異動を命じられたら、転職という選択肢も考慮すると思います。私は会社員ですが、その前に一人のキャリアコンサルタントであり、その職務に携われないのであれば、別の職場を探すのが自然な流れです。しかし、同じ仕事をしているコンサルタントでも、私と異なる考えの人間も大勢います。会社に指示されてコンサルタントになった者もいれば、目標が見つからず、とりあえずコンサルタントとして活動している人もいます。
もしミサさんにとって経理という仕事が、一生続けていきたいと思える仕事ならば、転職をするべきです。経理のスペシャリストとしてのキャリア形成を目指して、経理職としての専門性を追求してください。一方で、そこまでの強い思いがないのでしたら、現在の職場でゼネラリストとしてのキャリアを築くことをお勧めします。今回の異動辞令を機に、「本当に経理という仕事を一生の仕事にしていけるのか」と自問してください。
私の場合、大学卒業後に一度社会人になり、営業職や財務職を経験しました。現在はキャリアコンサルタントとして、営業や財務の経験を今の仕事に生かしています。ミサさんはまだ25歳なので、経理職以外の仕事を経験することで、自分自身の成長を感じられるかもしれません。営業職というプロフィットセンター(収益部門)で働くことにより、コストセンターでは感じることのできない経験も積めるはずです。
日系企業では、大半が総合職(ゼネラリスト)採用という方式をとっています。それ自体は、終身雇用を前提に考えると、非常に良いシステムです。すべての社員が様々な部門を経験することで、将来的には管理職、役員、または社長を目指すことができるシステムです。
しかし、そのような環境も徐々に変わりつつあります。これだけビジネスサイクルが短くなっている中で、どれだけの人が1社のみの経験で会社員人生を終えることができるでしょうか。多くの人たちが、様々な理由で転職をしています。そのような状況下では、スペシャリストとしてのスキルを磨くことも大切だと思います。
また、高いレベルのスキルを修得することにより、職を失うリスクは軽減されます。会社のためにどれほど尽くしても、会社がなくなってしまえば転職しなければなりません。これだけ多くの会社が倒産している中では、愛社精神も大切ですが、自分自身を守ることも必要です。そのような意味でも、これからの時代は、スペシャリストとしてのキャリア形成は有効的な手段なのかもしれません。